備忘録 縁あって古平のタラコ工場を見学した。地元の住民を80人雇うタラコ工場の大手、株式会社「よ」吉野だ。年間の生産量1000㌧、うちタラコ7割、明太子3割。道内の消費性向として明太子に比べタラコの消費量が多いことが特徴とのこと。一方、最近では北海道と並んで魚卵消費量が多い東北6県の明太子の消費量が激増し、タラコの消費が相対的にに減っているとのこと。吉野は地元民にも愛されており、工場の直売所だけで年間1億の売り上げがあるとのこと。工場全体では12億円の売り上げがあり「(明太子メインではなく)たらこで勝負して、食っていけているところは、うちくらいだ」と吉野社長。
原料は主にアメリカから輸入している。ベーリング海で採れたスケトウを網から外し船内で身と魚卵にわけすぐに冷凍庫に入れ、新鮮な状態で冷凍保存したものだけを選んでいる。吉野社長ご自身がアラスカの水揚げ場に出向き、原料を入札し買い付けてくる。昔はアメリカのスケトウ船に自ら乗り込み、冷凍技術や品質保全に関するアドバイスもしてきた。原料の選択肢としてはロシア産もあるが、仕入れ値が安い反面、冷凍技術が最新ではなく米国産に比べ品質が劣る。また、道内の原料はキロ2500円で販売価格がキロ7000円とびっくりするくらい高くなってしまうのでオーダーがあれば仕入れて加工しているのにとどまるとのこと。必ずしも道内産原料の鮮度が高いというわけではなく、道内産原料の3割近くはタラコの腹の先が黒緑っぽくなっているという。それは、鮮度が落ちたスケトウの胆のうが破れ胆汁が漏れて色がついたもの(無害)とのこと。アメリカ産は99%それがない。
通年で操業しているが、万年の人手不足でベトナムからの技能実習生が活躍しているという。今は9人の実習生を受け入れているとのことで、地元のおばちゃんたちに面倒見てもらいながら、楽しく暮らしているとのこと。工場で一生懸命働いている実習生の姿が印象的だった。
工場で加工されていたタラコがあまりにおいしそうで、帰り際、直売所で買ってきてしまった。正月は痛風発作が起きて、のたうち回っていたのでプリン体含有率が高い魚卵は遠ざけるべきだろうが、誘惑に負けそうだ。
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