好きなFender Rhodes 弾きは数多くいるが、一番アジがあるプレイヤーは誰と問われればリチャード・ティーを挙げるだろう。Azymuthのホセ・ロベルト・ベルトラミもEumir Deodatoも良い線いくと思うが、自分にとってはやはりTeeが一番だ。
ティーの客演で一番耳なじみがある演奏はビリー・ジョエルの「素顔のままで」のイントロのチャラララ~~ンの音か。はたまた、グローバー・ワシントンJr.のJust a two of usのイントロか。
ティーは演奏もさることながら、歌声も素敵だ。最高なのはポール・サイモンのOne Trick Pony 発売時のライブで演っているAce in the hole。ちょっとクスリが入っているようなポール・サイモンを食っちゃってるもんね。ティーをはじめ脇を固めるプレーヤーがスティーブ・ガッド、トニー・レビン、エリック・ゲイルと鉄壁の布陣で、特に時折見せるスティーブ・ガッドとの丁丁発止の掛け合いは聴きごたえ満点なのだ。
昨日寄った中古CD屋にて再発が見込めない廃盤として中古市場で高値止まりだったReal Time Live In Concert 1992を見つけ小躍りした。リチャード・ティー没後20年くらいのタイミングで、なぜか発売になったもので、そのうち買えばいいやと思っていたところ廃盤になってしまった。インディレーベルからの発売なので再発が見込めないなか、状態のいい中古を発見できたのはラッキー。
ちなみにパーソネルは、Richard Tee (p,key)、 Steve Gadd (ds)、 Ralph MacDonald (per)、 John Tropea (g)、 Will Lee (b)、Ronnie Cuber (bs)で最後の「明日にかける橋」で伊藤君子のボーカルが入るのはご愛嬌。それぞれの名人芸が織りなすめくるめくグルーブ感を堪能できる、ファンにとっては嬉しい一枚だ。
聴きどころは「A列車で行こう」。エリントンのこのスタンダードナンバーは、ティー 最初のリーダー作「ストローキン」と、ラスト・アルバムとなった「リアル・タイム 」 両方のアルバムで取り上げられている。本作ではティーの「イキマッセ~ 」という日本語が聞こえたかと思うと覇気も高らかに無伴奏ピアノ・ソロが始まり、ガッドの激しい拍動が追いかけてくる。彼ら2人のキャラクターが作り上げる息も詰まるような濃密な掛け合いは、Stuff、Gadd Gangの時間を共にしたこの2人にしかできない芸当なのだと改めて思わされる。

リチャード・ティーが没して25年近く経つが、彼のプレイスタイルを髣髴とさせるフォロワーが出てこないことからも、彼がいかにオリジナリティを強く持っていたかわかるのだ。
80年代にはこんなCMもあったよなぁ。
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