備忘録 W杯決勝戦希望的観測

世界杯も残すところあと2試合。16強がそろった時点でランチをかけて手慰みをはじめ、自分が推しているクロアチアが決勝にコマを進めたので、このままフランスを破っていただき豪華なランチにありつきたいと願っている。

実家に録画したVHSがあるはずだが98年のW杯の準決勝の同カードでは、ジダン率いるフランスが逆転劇を演じ最終的に初優勝を飾った。ジダンのほかにもアンリ、トレゼゲ、ティエリ、プティ、カランブー、デサイーなど超強力な布陣でシャンパンサッカーを繰り広げ、見るものを楽しませてくれた。キャプテンは現監督のデシャン。その容貌からポルトガルのフィーゴ同様、仲間内では部長と呼んでいた。その時も自分はクロアチアを応援しており、特に血気盛んなボバンが好きだった。「クロアチアとセルビアの対立を背景にしたディナモ・ザグレブ対レッドスター・ベオグラードの試合で起こった暴動で、セルビア側の警官隊に殴り込みをかけ、9か月間の出場停止処分を受けた」(ウィキペディア)との逸話に示されるように愛国心の塊のような選手だった。バルカン半島の地殻変動期を生きたものとして「サッカーを戦争だと言う者は、本当の戦争を知らない」の言葉を残していることは有名。

98年の3位決定戦では日本もやられたトマホークの異名を持つシュケル、稀代のフリーキッカー=バルカンの黄金銃プロシネツキの2発でオランダを追いやり3位に食い込んだ。他国からはダークホースと見られていたクロアチアの躍進に国民が半狂乱したことを記憶しているが、今回はすでに準優勝以上が確定。ユーゴ内戦のしこりが緊張感を高めているとの報道もあるが(いや、実際あるのだが)“東欧のブラジル”旧ユーゴの悲願が叶うとのことで、政治的な混乱を引きずる中、現在の旧ユーゴの心は一枚岩となっているとの報道も見る。フランス革命とナポレオンの登場は、バルカン半島にナショナリズムと自由主義をもたらし、結果的にはユーゴスラビアでの民族自決の引き金となった。仏国を敵としたとき、国の運命を翻弄された雪辱をと願うのは選手のみならず旧ユーゴ民の宿願であろう。

とはいえ、エムバペが本気で走ればロブレンすらも一気に置き去りにされるし、ポグバとモドリッチの中盤対決も残存体力では前者に分がある。仏国だって20年ぶりの賜杯目指し国を挙げて盛り上がりを見せている。ジダンにあこがれ中学時代に髪型をまねようと、つむじを中心に放射状に毛をそってくれと床屋に注文したエムバペも凱旋門で師と喜びを分かち合う夢を見ているに違いない。

モドリッチを中心として、ラキティッチ、マンジュキッチ、ペリシッチなど黄金世代が老骨に鞭打ちどれだけ気を吐き走り続けるか、試合の行方はそこにかかっている。少なくとも過去3戦はその気迫で勝ち上がってきた。英国ブックメーカーのオッズは圧倒的に仏国寄りだが一泡吹かせてほしい。

コメントを残す

WordPress.com Blog.

ページ先頭へ ↑