備忘録 MUST BE UK TVの最強エピソード▽Aztec Camera, Prefab Sprout

NHKでは今年2月からMUST BE UK TVのエピソードを繰り返し深夜に再放送している。エピソードは全部で20種くらいあろうか。

大好きなヴァン・モリソン御大の若かりし姿やRain Dogsのころのトム・ウェイツ、果てはBBキングやイギーポップまで出てきて大いに楽しませてもらった。以前スタイル・カウンシルが出ているエピソードを紹介したが、MUST BE UK TVをフル・コンプリートしてみて最強のエピソードを見つけた。その回のラインアップはザ・スミス、ロイド・コール&コモーション、10000マニアックス、アズテック・カメラ、プリファブ・スプラウト、シェリアン・オーファン、スザンヌ・ヴェガ、ジミー・ジミー、ティムバック3、ポーグス、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ

のっけから若かりし頃のThe Smithモリッシーの姿にくぎ付けになり、The Pogusシェイン・マクガワンの酔いどれぶりに笑わされ、Dixies Midnight Runnersケビン・ローランドのソウルフルな声に感動するのだがこのエピソードの見ものはアズテック・カメラとプリファブ・スプラウトだ。所謂ネオアコの至宝と言われる二組、とりわけAztec Cameraのロディ・フレイムの瑞々しさは驚嘆に値する。まさしく美少年。フロアーの女性のまなざしを一手に集め、ギターを爪弾く姿におっさんの心もわしづかみにされた。曲も良いが歌詞に関してはエルビス・コステロに「イギリス最高の若き詩人」と言わしめた。有名なのはWALK OUT TO WINTERで「ジョー・ストラマー(The Crash)のポスターが壁からはがれ落ちそこには もう何も貼られない」の一節で、その暗喩はポストパンクの時代到来の宣言=世代交代の狼煙として同世代の若者の心に届いた。ほとばしる才能とはこのことか。エピソード中に演奏されたファーストアルバム「ハイ・ランド、ハード・レイン」からの『OBLIVIOUS』『WALK OUT TO WINTER』『THE BOY WONDERS』いずれも、使いたくはない陳腐な形容エヴァー・グリーンそのもので、永遠の若気を讃えている。(エビをプリプリ以外で形容するのが難しいのと同様、この映像をエヴァー・グリーン以外で形容するのは至難の業)。まったくもって素晴らしい。

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※下記の映像はMUST BE UK TVで放送されたものとは別

他方、プリファブ・スプラウトは演劇チックな仕立てで名作Steve McqueenからGoodbye Lucille #1 (Johnny Johnny)を聴かせてくれる。トマス・ドルビー・プロデュースの本作はリバーブを効かせた緻密なギターサウンドが売り、なかなかライブでレコードのクオリティを保ちながら再現するのは難しい。しかし、生で歌うパディ・マクアルーンを始めて見ることができるだけでも良かった。

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アメリカで最初の発売時には、映画俳優のスティーヴ・マックイーン(左)と同じ名義を使う上での法務関連で、アルバム・タイトルが『Two Wheels Good』(右)へと変えられ発売

※下記の映像はMUST BE UK TVで放送されたものとは別

 

貼り付けた映像よりMUST BE UK TVの映像は数十倍イケてる。MUST BE UK TVの再放送もいずれ終わるのだろう。80’sフリークは記録媒体に映像を納めておくことを勧めたい。

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