3泊4日の初台湾。航空券は東京往復よりも安い札幌⇔台北ピーチ直行便。機内食がデフォルトではつかないので、おにぎらずと卵焼きを拵え家から持参、さらに免税店で久保田千寿四合瓶を買いこみ約4時間のフライトを快適に過ごした。座席は狭いがさほど気にならず。
備忘録として、写真を掻い摘んで載せてみた。
現地到着が午後10時、現地出発が午前10時だったので、実質の滞在は正味丸2日間の強行軍。かみさんとの旅路の常で、基本的には郷土の食べ物を「あれも食いたいこれも食いたい」と2人で東海林さだお化するのだが、B級グルメの桃源郷台湾ではその傾向がさらに強まった感がある。Bグルのみでも良かったのだが、サービス料を取るレストランにも出かけ、結論はやっぱり「台湾は安食堂とかフードスタンドに限る」ということだった。あの価格帯であれだけの種類、質、量の選択肢を揃えるアジアの国もそうないのではないだろうか。

食ってばかりの2日間だったが物見遊山的な要素も詰め込んだ。九份、猫空、士林夜市、迪化街、国民革命忠烈祠なども駆け足で回った。短い旅行期間で特に重宝したのが事前調達したWi-Fiのモバイルルーターで天気予報、Google Map、飲食店の情報収集と大活躍。おかげで鉄道、バスのローカル線やUberなどが問題なく利用できた。

迪化街。「孤独のグルメ」で五郎さんが訪問した担仔麺のお店





1時間ごとに交代の儀があり、観光資源として多くの客を呼び込んでいる。













訪問する国の博物館を楽しむには相応の予備知識が必要だと思うのだが、今回の故宮博物院はほぼ丸腰で臨んだ。知っていたのはあの白菜のみ。正確には翠玉白菜と言うらしいが、白菜をかたどった翡翠にキリギリスがとまっている小さな美術品で、博物館不動の一番人気の収蔵品とのこと。その白菜しか知らんもんで、1階から3階まで捜し歩いたが、見つけられず学芸員に「Where is THE cabbage?」と尋ねたところ、「Oh, THE cabbage is rented for another exhibition」とお留守中らしい。ガーン(笑)。途方に暮れていたところにこれが。


知らなかったが、博物館で白菜と人気を二分する展示とのこと。肉形石というらしく、豚の角煮を模した石。目茶目茶うまそうではないか。三枚肉の皮の質感何ぞ特に素晴らしい。気に入り思わずショップでレプリカを購入してしまった。


滞在中最も印象的だったのは最高に美味かった台湾おやきの味でもなく、郷愁誘う九份の景色でもない。それは2日目の朝に豆漿が美味いと評判の店を探して中山方面を歩き回っていた時に目撃した交差点での出来事。
チャンカワイ似の男が車道でオンボロのスクーターに跨り信号が変わるのを待っていた。細い道で他に車両はなく、信号待ちをしていたのはそのスクーターのみ。ほどなく信号が変わったが、彼は視線の先に信号が変わったことに気づかない白杖を持った老女を見つけた。チャンカワイ似の男はおもむろにスクーターを降り、メットも脱がずに老女に歩み寄るとそっと腕に手を伸ばし、子供の手を引くように先導しようとした。すると老女は大きな声を出し男の手を振りほどき、彼女の手を肘の内側に添えるように手の位置を正し、そのままチャンカワイ似の男に横断歩道を先導させた。対岸にたどり着き、礼を言われた(と思いたい)チャンカワイ似の男は信号が変わる前に踵を返し、アイドリング状態のスクーターに駆け戻り跨るとポケットからタバコを取り出して火をつけた。そして、その間信号を「なんで婆さんにでかい声を出されたのかなぁ」と考えている様子で更に待ち続け、信号が変わると何事もなかったように走り去っていった。
気づきとして▽台湾の男性に博愛を見た▽台湾の女性は強い、というところか。世界幸福度ランキング、アジアトップ26位(日本は54位:参考https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2018/WHR_web.pdf)という台湾の良心を垣間見た瞬間だったような気がする。



















全てが素晴らしかったと言いたいところだが、左党として敢えて蔡英文さんに苦言を呈させていただくならば、所謂一杯飲み屋の類が台北駅周辺に殆ど無いということか。夕飯を済ませて宿に戻る前に一杯という店は、台北駅近辺では終ぞ見つけることが出来ず、危うく呑み屋難民と化すところだった。幸いクラフトビールを飲ませる店にたどり着くことが出来たが、できれば土地の風情を感じる店に入りたかったというのが本音だ。呑み文化という点では日本が数歩先を行っている。吉田類が台湾で生きていくことは難しいだろう。







その代わり夜遅くに目に入るのが学習塾の類だ。夜10頃の東京駅付近では多くの酔客を見かけるが台北駅の周りでは塾帰りの賢そうな若者たちが目立った。酔客らしき姿を2日間目にしなかったのはたまたまかもしれないが、清く正しく美しい台湾の夜に、明るい未来を感じ再訪を誓って帰ってきた。






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