備忘録 発寒川

西野っ子にとって発寒川は母なる河川だ。ここ20年くらいで魚が上流に遡上できるように堰を取り除いたが、自分が小学生の頃は堰堤の下の深場で水遊びをよくしたものだ。場所によっては自分の背丈よりも深い場所もあり、潜ったりもした。釣りもしたが、釣れるのはウグイとカジカばかりだった。

発寒川はここ20年来ヤマメの放流をしており、今では夕方1時間も丹念にポイントを攻めれば、夕飯のおかず分の1~2年魚10匹くらいは釣れる。

昨日、発寒川に入って水生生物の調査のまねごとをする機会を得た。野生生物総合研究所の酒井会長が川底の石をめくると、下流に設置した網に黒川虫、カゲロウの幼虫、やご、カジカ、ヤマメ、ウグイ、ドジョウなどが入ってくる。捕れる水棲昆虫や魚の種類をでその川の水質を判定するという調査だ。20年来ここで調査を続ける酒井会長によれば、現在の発寒川は、昔に比べかなりきれいになったとのこと。

驚いたことがあった。なんと、サクラマスがいたのだ。浅瀬で網を入れて調査していると、水面から背びれが出た状態で自分の横をサクラマスが悠々と泳いでいった。60センチもあろうか。サクラマスは航海型のヤマメで、河川で生まれ、海で2~3年過ごし、生まれた川に戻って産卵後死ぬ。渓流釣りをやっていたころは、山間の渓流で遡上するサクラマスをよく見かけたが、実家のすぐそばの川にまでいるとは嬉しくなってしまった。これは放流の成果と言っていいだろう。

近くにサクラマスの死骸も見つけた。抱卵したメスで、9月にはもっと上流で産卵する予定だったのだろう。酒井会長によれば、ここ数日間の猛暑で河川水の温度が上がり、酸素濃度が著しく低下したことで死んでしまったという。サクラマスは低水温を好み、普段は最高でも20度くらいの水温の河川を選ぶ。母川回帰の本能にはあらがえず、発寒川に戻ってきたところ不運にも猛暑日が続き、昨日の水温は27度、産卵を前に非業の死を遂げたというところか。死骸の目玉がカモメ(いるんです)に食われていたのを目の当たりにし、大げさに言うと自然の摂理を感じてしまった。

実家に帰省中の甥っ子姪っ子も遊びに来ており、ヤマメを釣っていた。釣れたウグイも一緒にフライにして食べたとのこと。まあ、えらいと思う。

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