備忘録 モス・スタードームⅡ テント レストア〔黒カビ撃退〕

20年来使っているモステントをレストアをしてみた。

アメリカから帰国後、定職に就かずホテルのベッドメーキングと塾講師を掛け持ちし、バイト代をためて買った思い出のテント。アイオワかどこかのアウトドアショップからの個人輸入で確か6万位だった。買った当時はジェベル250 にテントを積んで山奥の渓流釣り場を探りがてら、道内各地でソロキャンプを重ねた。ランプの宿で知られる青森・青荷温泉や、遠くはカナダのバンフ国立公園・キャッスルマウンテンのキャンプ場にまでお供させた。

キャンプ好きにはMOSSテントと云えば「ムムム」と唸られる代物で、機能・デザインが秀逸であることからニューヨークの MoMA (近代美術館)には「Charles William Moss. Star Gazer II Tent. 1982」が収蔵されている。キャンプをしていて何度か「スタードーム(スターゲイザーの後継)いいですね」と声を掛けられたこともあった。1975年に設立されたモステントは、残念なが1994年創業者のBill Mossが亡くなりREIへ売却。2001年REIからMSRに転売された時点でモス・テントは消滅してしまっている。

大切に使ってきたが、数年前、雨天時に使用したまま干し忘れてしまい、フライシートが黒カビだらけになってしまった。また、モステント共通の現象であるポリウレタン加工されたコーティング部分の加水分解が進み、異臭とべとつきが気になり始めたので、丸洗いし、再びコーティング(といっても撥水加工)とシーリングをしてみた。

レストアの大まかな作業の流れとしては

①汚れ落し
浴槽に張ったお湯に重曹を適量混ぜてからテントを丸ごと放り込み、足で踏んで押し洗い。その後一晩重曹水に漬け置き。これでコーティング、シーリング材が融解し、流れ落ちる。EM(有機微生物)信者なので、EMを加え微生物分解を同時に試みたが、効果のほどは定かではない。

②汚れ落とし2
フライシートの黒カビ対策として、酸素系漂白機能があるオキシクリーンに漬け置き洗浄。黒カビがかなりの範囲に発生し、全体的に黒ずんでしまっているので半分あきらめていたが、とりあえずやってみた。洗浄のポイントは酵素を活性化させるため、60度以上のお湯を使用すること。本体を洗った時には温度が低く、洗浄効果があまり得られなかった。全体的に黒カビが発生したフライシートは別洗いし、多めのオキシクリーンに60度の湯を風呂に張って8時間漬け置いたところ、黒ずみはほぼ消え、新品時の明るい色がよみがえった。色つきの部分の脱色もなく、これには恐れ入った。テントの黒カビ対策に難渋する話をよく聞くが、こんなに簡単に除去できるとは!

③撥水剤の塗布
よく乾燥させた後にネットで入手した「信越シリコーン、POLON-T」をハケで塗る。これはテントの撥水性を回復させるための薬剤で、1リットル2,500円程度。新品同様の回復を期待することはできないけれど、普段のキャンプ使いには十分耐えうる撥水性を確保できる(と謳われている)。シリコーンはフライシート、グランドシートに塗布。充分乾燥させ、終了。作業の難点は液だれと強烈なシンナー臭。作業中すこしラリッてしまった。あ、あとはけは化学繊維だと融解するので、動物毛のはけの使用は必須。

④シーリング
最後に縫い目に沿ってシーリング材を塗布。乾くのに時間がかかるが、この処理をしなければ雨天時、特に地面に接するグランドシート部分から水がにじんでくる。テント本体のボトム部分でコーティングの傷みが激しい部分にも塗ってみたが効果はいかに。

テントを張った状態で 3日間 乾燥させた。テントを張るとその中で寝転がってみたくなるのがキャンパーの性。キャンピングマットを敷いて、寝袋で寝てみた。フライシートを外せば、天蓋がメッシュになっており、品名の「スター・ドーム」の通り星が眺められる。加水分解によって生じた異臭の問題も解消した。

9月に中学時代の友人と野郎二人で平取町のニセウキャンプ場に行く予定なので、その時にレストア後の撥水効果などを検証してみたいと思っている。

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