備忘録 大きなヒラメ

かみさんの誕生日にということで魚を仕入れに石狩の朝市に行ってきた。お目当ては活ヒラメ。時期が早かったのか、開いていた7~8軒のお店で生け簀に活ヒラメを活けていたのは1軒のみ。しかも生け簀には最後の一枚。さらには残されたその一枚は、座布団級のでかいヒラメだった。


お店の人「これだけ大きいと美味しいよー」
私「これ、いくらくらい?」
お店の人「量り売りキロ1,200円。計ってみるかい?」
と、計りに乗せたところお店の人が「こりゃでかいわ。6キロもある。決めるんだったらキロ1,000円でもってきな」
私「6,000円か~」
お店の人「わかった、じゃあ5,500円」
だんだんその気になってきた私の気配を察し、けん制するようにカミさんが「大き過ぎない?食べれるの?」と楔を打ってくる。ひと月以上飲み代浮いてるし、でかいヒラメ食べてみたかったし、カミさんの誕生日だし、最後の1尾だし、ここで会ったが100年目この一期一会を逃すわけにはいかないとの思いに駆られ「それください!しめてね」と購入決断。裏返してみると真っ白純白の正真正銘天然ヒラメ(※養殖物は裏が黄色まだら模様)、それに巨大な尾びれが石狩近郊の日本海海域を自由自在悠々自適唯我独尊バサロ泳法で泳いでいたことを物語っている。

「これは旨い。旨いに決まっている」私は心の中で小躍りした。

家に帰って体重計に魚を乗せると5.5キロ、75センチ。500グラムさばを読まれていたのが気にならないほど立派な体躯。よほど生命力が強いのか、帰宅後もぴくぴく動いていた。(ていうか、単純にしめ方が甘い)

これだけ大きな魚をさばくのは初めての経験。まな板を二つ並べても全く収まりきらない。金束子でぬめりと鱗を取って、いざ5枚おろし。3週間前に38センチのクロガシラカレイを釣ってきて5枚おろしにしたが、身長がその倍、身の厚さは4~5倍はある。


まず緑玉をつぶさないように頭を落とす。内臓を引っ張り出すと胃袋から胃酸で溶けたカレイが2枚出てきた。抱卵物のメスだったので卵巣も取り出す。最後にキモも取り出し、きれいに洗う。


5枚おろしは手慣れたもんだと思っていたが、今回のヒラメちゃんは四分一の身の厚さだけでも4センチはある。皮引きも柳葉包丁の刃渡りですらカバーできず、苦戦を強いられる。皮を引いたのちの身の部分と縁側の部分は手で簡単に引き裂くことができる。信じられないくらい大量の縁側が取れた。たたき用に中落ちをこそげ落とし、準備完了。

卵巣は塩漬けにして、2か月後のからすみの愉しみとして取っておく。キモは血抜きをして、刺身で食べる部分をとりわけ、残りの部分を砕いて裏ごしし、キモ醤油を作る。中落部分はニンニク、ショウガ、ネギと叩いてなめろう風に用意する。

中骨部分やひれ付近の部分はアスパラとバター焼きにして食す。美味なり。

おつくりはカミさんの希望で薄造りに。キモ醤油で食べるも美味、わさび醤油で食すも白眉。絶品だったのはキモ。ヒラメのキモ刺しは初めてだったが、これまた超絶美味なり。一晩で食べることができたのは四分一の半分くらい。ヒラメはさばきたての味、それから寝かせてからうま味が出たときの味と時間の経過とともに味変を1週間くらい楽しめる。さらにカルパッチョ、こぶ締めなど過熱しなくてもおいしく食べれるバリエーションが多い。

翌日は握ってみた。シャリの握り方が5流でもネタは天下一品。5キロ級の天然ヒラメの縁側なんぞ、私のようなサラリーマンがお好み寿司店でありつけることなど、一生涯ないであろう。一番太い部分を斜めに切り、舎利にワサビと一緒にのっけて醤油につけ、頬張ってみる。うーむ、うまい。うまいとしか言いようがない。

石狩丹野漁業部で仕入れたホタテも握りにしてみたが、これまた美味なり。桜本商店で仕入れた宮城のお酒もうまかった。

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