ジョンのHappy Christmasも良い。Jackson 5のママがサンタにキスをしたも素晴らしい。毎年この時期に引っ張り出して聞く、フィルスペクターのクリスマスアルバムも文句なしの名盤だ。
我が家のCDラックのクリスマスコーナーには約100枚のクリスマスアルバムが並んでおり、最近のタワレコのクリスマスコーナーよりもよっぽど充実しているのだが、例年はなかなか腰を落ち着けて聴く時間がない。今年は在宅勤務があり、仕事をしながら昔買ったクリスマスアルバムを、ちょっとだけ気合を入れて聴いてみた。
今年のクリスマスはイケイケドンドンの雰囲気がなく、食指が伸びるクリスマスアルバムもイケイケドンドン・クリスマスアルバムの対極にあるものが多いことに気づく。そんな中、あまり脚光を浴びないながらも、滋味深いクリスマスアルバム、そしてそのアルバムから気に入っている曲を紹介したい。

トップバッターはNRBQのChristmas Wishという1986年のアルバム。NRBQは1960年代から活動を続ける息の長いバンドでAt Yankee Studiamなどの名盤を生んでいる。やる気の薄さが満載で、本作もお家芸ともいえる脱力感がアルバム全体を覆っている。アルバムタイトル曲のChristmas Wishが出色の出来ばえで、なんとなく今年の時代感をも映し出しているように感じている。

お次はRay Charlesの1985年のSpirit of Christmasというアルバム。アルバム全体を通りして、聴きどころが多いのだが、2曲にFreddie Hubbardが参加して元気にラッパを吹いていたり、Little Drummer BoyではJames Gadsonがドラムをたたいていたりで油断できないのだ。楽し気なファンキー・アレンジの楽曲群の中に、メランコリックなThis time of the yearが光っていて、レイのエレピの音もとてもいい。

お次はBrave Comboのクリスマス。1991年発売。ブレイブコンボにクリスマス企画アルバムを作らせてしまうとは、このころのブルース・インターナショナル・レコード(P-vineレコード)は力がありましたね。テキサス出身のバンドで70年代後半からポルカ+テックスメックス的な音楽を続けるバンドで、いまだ現役。ディランが2009年にリリースしたChristmas in the heartの中でポルカ調のMust be a Santaを演っているけれど、アレンジはブレイブコンボのもろパクリ(本作はディランの愛聴盤としてディランがDJをしていたラジオ番組で紹介されたこともあるらしい)。今回紹介するのは、こちらもメランコリックな雰囲気の佳曲、チャチャのリズムでIt’s Christmas.

お次はJam&Lewisプロデュース、Alexander O’neilが歌うMy gift to you。1988年リリースのアルバムで前作の名盤Heresayの流れをくむ好盤。80年代ブラコン特有のシンセ音が耳につくのは否めないものの、A面オリジナル、B面スタンダードの選曲も良い。1992年の山下達郎氏のSeason’s Greetingではタイトル曲が取り上げられて、そちらも素晴らしい。今回はそのMy gift to youを2バージョンで。
まずは本家。
で、山下達郎氏バージョン。

最後はこちら。所有するクリスマスアルバムの中で最愛聴盤、30年前に購入してから毎年聴いているSoul Christmas。好きすぎて2枚所有。STAXアーティストの1968年にリリースされたコンピレーションで、オーティス、ソロモン・バーク、カーラ・トーマス、MG’s、キング・カーティス、クラレンス・カーターなどのクリスマスソングが収められており、STAX好きには宝箱のようなアルバム。長らく廃盤で最近は10,000円近いプレミアがついているみたいだけれど、早く再発されて適正価格で皆さんのお手元に届いてほしい。このアルバムはどの曲も甲乙つけがたいのだけれど、ウィリアム・ベルのEvery day will be like a Holiday。
なんだか、メランコリックに偏った選曲になってしまったけれど、これが今年の気分を表しているのかもしれない。来年のクリスマスはイケイケドンドンの盤に手が伸びるような年になってほしい。
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