この半年間、休みの大半を漁労に費やしている。コロナ禍、出張もなく、時間に余裕がある週末は晴耕雨読と行きたいところだが、どうもじっとしていられない。小人閑居して不善をなす、というところか。冬のホッケ、ワカサギ、春のカレイ、サクラマス、初夏のヤマメ、イワナ、ヒメマス、夏のヒラメ、根魚、青物と魚たちに呼ばれている気がしてならないのである。札幌近郊は対象魚が多く、季節の移ろいを感じながら海に川に釣りを楽しむことができる。ドア・トゥ・ドア2時間以内で豊富な魚種が狙える200万都市など世界中探してもそうないのではないだろうか。素晴らしき札幌哉、もとい、北海道哉、と図らずも地元の魅力再発見の日々を過ごしている。
冬は茨戸でワカサギ釣りを楽しんだ。コロナ禍仕事がない家内と出かける機会が多く、調子がいい日だと午前中のうちに2人で300尾くらいのワカサギを釣る。釣りたてのワカサギはとにかくおいしく、天ぷらとフライはとにかく無双、徳川家に献上されていた公儀御用魚が家から1時間の場所で釣れるとは有り難き幸せ也。



今年はホッケの調子もよく、特に積丹方面でたくさん釣れた。ホッケは貪欲な魚なので、群れがいれば必ず釣れる。その群れを引き寄せるのに釣り人はいろいろと工夫をするのだが、今年は餌を付けて投げれば釣れることが多く、用意したオキアミを撒かずとも釣果に恵まれることが多かった。最たるは積丹のとある漁港を通りかかった際に、助手席の家内がホッケを立て続けに上げている釣り人を見つけ、その港に立ち寄った時のこと。港に入ってきていたオキアミを大量のホッケが追いかけていて、其処彼処でホッケが水面を割って捕食している。ジグサビキを投げると良型のホッケが2~3尾ついてきて、シーバスロッドが弓なりになる。1時間もするとバッカンがいっぱいになり、打ち止め。数えてみると66尾の釣果だった、などという経験をした。家族と友人におすそ分けして残ったホッケはフライにしてストックし、毎朝のフィッシュサンドとして食卓に供され、無事すべて私たちの胃袋に収まってくれた。ありがたや。



春先はサクラマスを追いかけた。サクラマスは航海型のヤマメで、これまでヤマメはたくさん釣ってきたのだが、釣りの対象魚としてサクラマスを狙ったのは今年が初めて。サクラを含むサケマスは河川で釣りあげることは禁止されていて(北海道ルール)、近所の発寒川にも遡上してくる光景を目にしていたが、もちろん狙ったことはなかった。正確に言うと、とある山上湖でワカサギ釣りをしていて、釣れたワカサギで試しに泳がせ釣りをした際にかけたことがある(湖上採取はOK)。食し、たいそう美味だった思い出があり、ショアからのサクラマス釣りに手を染めることにした。春先にそれ用のロッドとリールを購入し、積丹方面、石狩方面に通ったが、腕が無い自分はまぁ釣れない。サクラマスの釣りは大きいルアーを投げて釣るので、外道もなかなか掛からないため10回くらい丸坊主を食らった。4月下旬に大船遺跡を訪問がてら道南方面に家内と旅行をすることになり、当然のごとくタックルを携行した。家内が起きてこないうちにホテルを出ていき、函館の大森浜で竿を振ったが2日間何も起こらず。最終日に桜満開の熊石キャンプ場のバンガローに宿泊。早朝磯に出た。既に10人以上が竿を振っている中、唯一空いてたポイントは波をかぶっており、少々腰が引けたが、そこで開始。5投目でいきなり「ゴン」とアタリがあったがすぐさまルアーごと抜けてしまう。連戦でラインに傷が入っていたのだろう。気を取り直して投げ続けること30分、今度は大きなアタリ。フッキングを焦って大きく竿を立てたところ、痛恨のばらし。さらに15分後にルアーがひったくられる。今回はドラグを緩め、多少走らせてから引き寄せ、隣のアングラーにタモを手伝ってもらい無事ランディング。人生初のサクラマスは59.5cm3キロのメタボな雌。無事、ヤマガ・アーリーとツインパに入魂できた。脂がのったハラスのルイベは超絶美味だった。





6月は淡水魚を狙った。南北海道は6月1日がヤマメ禁漁の解禁日、また支笏洞爺の湖のヒメマス解禁日も同日である。解禁直後、幼馴染と赤井川村のキャンプ場で釣り合宿と相成った。ヤマメ釣りによく2人で出かける川なのだが、今年は雪代が多く水温がとても低い。案の定、釣れてくるのはイワナばかり。それでもイワナの尺越えを2本出し、その晩はテン場で渓魚の刺身と塩焼きを頬張った。大きいイワナの刺身は脂がのって旨いのだ。






どうしてもヒメマスを釣ってみたくなり、6月初旬には洞爺湖に2回行った。洞爺湖では6月だけボートでの釣りが許されていて、1,200円の遊漁券を購入すれば自艇から釣りができる。ここ数年乗っていなかったカヤックを実家の車庫から引っ張り出してきて、あれこれ作戦を練り、いざ出陣。支笏洞爺のベテラン勢は太鼓リールを使いドジャーにルアーを付けたトローリングが定番なのだが、こちらはそんな大層な道具は持ち合わせていない。カヤックを沖100mくらい出して、アジ用のサビキを振ったり、小さめのスプーンを投げたりと試行錯誤を繰り返す。1回目の単独行ではまぐれで2尾かかり、2回目は家内と2人で3尾のみ。やはりヒメマスは専用の道具がないと厳しい。2回目の釣行で我々のカヤックの近くをトローリングしていた動力船の船長が、あまりにも釣れていないオーラが出ていた我々を不憫に思ってくれ、岸にカヤックをつけた際に「俺、こんなに釣っても食えないから、持っていきな」と長いたも網に入れてくれたヒメマスを6尾授かった。船長は60尾以上釣ったとのこと。いただいたヒメマスはどれも25~30CMと大型で、脂乗りが良く、食味も抜群であった。今回自分で下手な寿司を握ったが、魚がいいのですこぶる美味。お造り、塩焼きもうまい。以前ススキノの居酒屋でヒメマスの握りを食ったことがあるが、2貫で800円だったような。ヒメマスは淡水魚で一番おいしい魚だと思っている。






ヒラメを狙いでカヤックを出したこともあった。積丹の砂場から船を出し、荒波にもまれながらも1枚釣った。34センチのソゲだったが(釣りルールでは35CM以下はリリースすることになっている)初物ということでいただくことにした。エンガワも取れて美味しかった。


これまで使っていたカヤックは10年近く、主に川下りで酷使してきたため、水漏れが発生しており6月に中古でインフレータブルの新艇を購入。米国AIRE社のスーパーリンクス号である。名付けて超山猫艇(直訳)。これがえらく頑丈な船でセルフベイル機能(浸水を自動で船外に配水する機能)も備わっており「これなら沖に出られるで~」と本格的にシーカヤックフィッシングを始めることに。スケグ(フィン)を付けたり、ロッドホルダー等の艤装品を廃材あつめてDIYして作成。早速、7月の波風が穏やかで、潮の流れもきつくない日にソロで積丹の海に出艇。狙うは上向き調子のブリ。出艇場所から2KMくらい漕いで、神威岬周辺のポイントへ向かう。カヤックの周りのあちらこちらでベイト(小魚)が沸き立ち、それを捕食しに大量のブリが海面をはねている。船の真下を100尾くらいいようかというブリの大群が行ったり来たりしている。エンドウクラフトの160G代表ジグを落とし、着底を確認後ワンピッチでしゃくり始めると「ドーン」と大きな当たり。ドラグを緩めておいたので、魚が走り出しラインが出っぱなしになる。ポンピングして巻き取ろうとするも、魚にトルク負けして全然上がってこない。竿を立てて、1M巻いては2Mラインを出されるというようなやりとりを15分ほど。その間、超山猫号は2,300M沖に引っ張られ、魚もさすがに体力を失ってきたようで、徐々にリールを巻けるようになった。水面に顔を出したのは念願のブリ。70CM5キロ弱の魚体は正確にはワラサになるのだろうが、まるまると太った魚体はブリにしか見えない。船上で活締め血抜きを行い、6時間後にはブリ大根、カマ焼き、お造りに姿を変え、家内と私の胃袋に収まってくれた。翌日の漬け丼も美味かった。全て絶品だったが、ブリ嫌いの家内が刺身を絶賛していたくらい美味い魚だった。






その他、超山猫艇ではぶっといアブラコやミズクサガレイ、45オーバーの黒ソイなど順調に釣果を上げている。先日近くで釣りをしていた2馬力ボートのアングラーが30KGくらいのマグロを上げているのを目撃した。あんなのがかかってしまったら、自分のタックルでは到底上げられないと思われ、超山猫艇がひっくり返る前にラインを切らなければなるまい。




夏枯れの8月以降、鮭釣りにシフトするか超山猫艇で道北回遊後の戻りブリを追うか迷うところだが、二兎を追ってしまうことになりそうな予感が。欲の熊鷹、股裂くるとならぬよう、気を付けなければ。
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