またまた悪い癖でリユースショップにて衝動買いしてしまった。FOSTEX0.5dが破格で出ており、ついつい手を出してしまったのだ。相場よりも安価に売られていた理由としては、1対2台ともフルレンジのコーン部分にへこみがあったからだと思われるが、他は傷もなく非常に状態が良いもの。コーン部分のへこみは掃除機の引圧で修復可能と踏んだ。本器はお手頃価格のモニタースピーカーとしてFOSTEXが主にDTMユーザーを想定して作られたものとされるが、0.5はDTM用としてはいささか大きすぎ、なおかつ机に置くには低温が響きすぎる。それを逆手にとってKEF350と同時に鳴らしてFレンジの相互補完を試みることとしたが、効果はいかに。

我が家のシステム(というほど大層なものではないが)は4年目に突入した絶好調のKEF350に、サブとしてKENWOODのLS550という年代物のスピーカーを入れている。単体では中・大音量ではそこそこ鳴ってくれるのだが、KEFと同じアンプに繋ぐとそれぞれのインピーダンスの違いから、なかなかしっくりくる音にはなってくれない。さりとて、システムに不満があったわけではなく、単にアクティブスピーカー導入という目新しさに食指が動いてしまったというわけだ。自分は音源の99%をCDとレコードに求め、DTMはやっていない。正確に言うと、PCにブルートゥースでAMAZON ECHOに繋いで、ラジオを聴く程度でMP3やストリーミングはほとんど聴くことが無い。
システムの再構築に案外役に立ったのがDAC1000である。FOSTEX0.5dにはスピーカー端子ではなくXLR端子が標準接続で、DAC1000もXLR端子を持つ。また、2本のスピーカーにそれぞれ独立したパワーアンプが搭載されており、別途アンプを介さずに音を鳴らすことができるという特徴がある。以前DAC1000が音質向上に一役買っているほかにも、スウィッチャー機能としての役割が秀逸と紹介した。DAC1000にXLR出力端子があるので、XLRケーブルでスピーカーと直接繋ぐと、音源に近い信号をスピーカーがダイレクトに得られることになる。CD→FOSTEXが最短となるが、CD内蔵のDAC回路よりONKYO-DAC1000を介したほうが艶のある音が得られることは実証済みなので、この場合、経由地を一つ増やすことにはそれなりの意味があるのだ。
霧吹きで濡らし、コーンセンター部分掃除機引圧作戦も成功した。遠目ではへこんでいたことがわからない程度に復元し、早速ケーブルに繋いでみた。FOSTEXはKEFよりも一回り小さが、再生周波数帯域は55Hz〜20kHzと低音域に分がある。KEFは63Hz~28kHzなので、魂胆としては、二つを合体させることで55Hz~28kHzとFレンジを広域化するということ。KENWOOD LS550は35Hz~25kHzで低音域も高音域も数字上はKEF+FOSTEXを上回るが、音の艶や解像度の観点ではKEF+FOSTEXが今風の鳴り方をさせ、最近の好みに合っている感じである。

更にいろいろと聴いてみると、スピーカーのサイズからは不釣り合いな低音がFOSTEXからは得られることが分かった。中・高音域もそこそこ出てくれるが、KEFに耳が鳴れてしまった今は、FOSTEX単体だと中・高音が響く前に、低音域が主張してくるのが気になる。KEFは拙ブログのエントリーで何度か紹介した通り、中・高音域の聴こえ方がよく、女性ボーカルなどは本当に素晴らしく鳴ってくれる。同一アンプの一つのボリュームコントロールで2対のスピーカーを操る場合は微調整が効かないが、FOSTEXには左右個別ににボリュームコントローラーがついているので、一本ずつ微調整が可能となり、好みの音量に調整ができるメリットを享受できることも判明した。結果的には見事にFレンジの相互補完が成り立ち、中高低とバランスが良い音を醸してくれることが判明した。これで、ボリュームが低い場合だとKEFの低音の響きに若干物足りなさを感じていた自分としては、FOSTEXの低音を効かせることで朝晩でも音量を上げずに低音を上げることができる。お金をかければその辺のことを一発で解消できるのだろうが、先立つものが無く懐が寂しい愚禿としては「低出費で成し得た音質改善」が殊の外嬉しいのである。諭吉未満で場末のジャズ喫茶程度の音が確保できたのは、地元のリユースショップに感謝せねばなるまい。

早速、低音を響かせたい時に重宝する、80年代あたりの私的サウンドチェック盤を聴いてみた。
◇SKYLARKING XTC
―XTCとしては異色作ではあるが名盤には変わりない。アンディ・パートリッジの歌声はスティーブ・リリーホワイトよりもトッド・ラングレンの方が的確にプロデュースしていると思う。本人は嫌だったみたいだけど。
◇The Poet Bobby Womack
ーウォマックの作品はどれもいいのだけど、本作は何といってもTボーン・ウォーカーのギターとジェイムス・ギャドソンのドラムが聴けるのが良い。B面のGames からの流れるようなバラード3曲は、80年代ソウルの最高峰。If You Think You’re Lonely NowはThat’s the way I feel ‘boucha と双璧をなすウォマック名バラード。
◇Power, Corruption & Lies by New Order
―ビートの効いた楽曲も。ピーター・フックのゴリゴリとしたベースラインが楽しめます。米国版にのみブルー・マンデー収録。
◇Doolittle Pixies
―オルタナ系も一つ。しょっぱなのディベイサーからぶっ飛ばしていきますが、全体的にはかなりポップな仕上がりに。音のうねりのようなものがブーストされた低音で増強されました。
◇Steve McQueen Prefab Sprout
―このような音数が少ない、隙間の多い音楽ほどスピーカーの特性が良くわかるもの。トマス・ドルビーのプロダクション・ワークが見事はまって、抑制的な音の中に若者の喜怒哀楽
◇We Are Family Sister Sledge
―ナイル・ロジャース&バーナード・エドワーズ・プロデュースの名作。システムを確認するときはThinking of youのギターのカッティング音がどれだけきれいにシャープに出ているかでチェックしますが、FOSTEXが加わりバーナード・エドワーズのベース音も増幅され、音の厚みを確認できます。CHICKのアルバムよりも土着感が横溢で好きですね。
◇Crazy and Mixed Up Sarah Vaughan
―サラボーンのアルバムでは一番好きな盤で、円熟したボーンの歌声とJoe Passのさりげないギターが聴きどころ。枯葉の名演を筆頭にIvan LinsのLove DanceやThe Islandのブラジル曲まで手を広げており、楽しいボーカルアルバムとなっている。
◇Elite Hotel Emmylou Harris
―エミルーの伸びやかなボーカルを堪能できる作品。ビートルズのヒアゼア~なんかは透明感ある歌声を惜しみなく披露しています。ソロを弾くAmos Garetteのギターも良く響きます。女性ボーカルはKEFが得意とする音ですが、単体だと控えめなベースラインがFOSTEXと同時に鳴らすとバランスよく聴こえます。ちょっと大きめのJBL的な鳴り方に似ている気がします。
20畳弱の集合住宅のリビングで鳴らすのにはちょうどいいシステムが手に入り(とはいえ、低音の響きを気にしながらですが)、とっかえひっかえCDをかけ続ける日々が続くのでした。
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