David T Walker(以下DTW)が聴きたくなり、主だった参加作品を棚から漁ったところ、かなりまとまった数になったので、コンピレーションアルバムを作ることにした。DTWのオブリはクレジットを見なくても「これはもしやDTW?」というものが多い。ソロ作にも名演そろい踏みなのだけど、サイドマンとして起用される時に絶妙なタイミングで放たれるソロやオブリの名人芸がことさら素晴らしい。DTWの起用が功を奏し、名盤の名声を得ることができた作品はMalena ShawのWho’s~やBobby WomackのThe Poetだけではなく、Nick DeCaroのItalian GraffittiやCarol KingのMusicもそうである。

1980年代前半のFM北海道はオールナイトではなく、12時だったか1時になると放送終了アナウンス後にピー音が鳴り続けるというものであった。自分はFMエアチェック小僧だったこともあり、かなりの頻度でFM北海道の終了アナウンスを聞く生活をしていたが、アナウンスのBGMとして流れる美しい曲が気になっていた。その頃はその曲が誰の曲かは知らず、唯々夜の静寂にラジカセから聞こえるその美しい曲を楽しみにしていたのだが、後にその曲のギターがDTWによる演奏ということを知った。ジョー・サンプルの「虹の楽園」に入っている「In my Wildest Dream」という曲である。後にクルセイダーズやメンバーのソロ作品のアルバムを貸しレコード屋で借りはじめたときに、虹の楽園A面2曲目にこの曲を探し当てたのだが、その時の嬉しさは格別であった。恐らく、その頃からDavid T Walkerのクレジットを意識するようになったのだろう。あれから35年、かなりの数のDTW参加作品を聞いてきたことになる。何せ、膨大なMotown作品群、特に初期のJackson5やMarvin Gayeの楽曲のほとんどにDTWの伴奏ギターが聞けるのだから。ABCを歌う少年マイケルの甲高いシャウトの後ろで鳴っている、フレットをスライドさせて引くチャラッチャラチャララララ(わかるかな~わかんねーだろうな~)もDTWである。ただ、1フレーズの手癖を聴いて「お、これはもしや」とクレジットを確認したくなるギタリストは、DTWが圧倒的に多い。


なんだかんだ選んでいくうちに3枚組230分になってしまったが、並べて一挙に聞くと、いかに優れたミュージシャンに好んで起用されていたかということがわかる。サイドマンとしてのDTWの頂点はBobby Womackが1982年に発表したThe PoetのB面3曲だと個人的には思っており、何度聴いても最高に素晴らしいと思うのだ。勿論MarvinのライブやPress onを筆頭とする種々のソロのプレイも格別なのだが、最高のソウルシンガーBobby Womackの歌の合いの手をギターに歌わせて入れるDTWの名人芸は筆舌に尽くしがたい良さがある。あまり知られていないが、Johnny TaylorがThe Poetと同じBeverly Glen レーベルに吹き込んだシングル作品集Best Of The Old & The New (The Complete Beverly Glen Music Sessions)というアルバムがある。同時期の録音ということもありバックメンバーが似ていて、The Poetに通じる聴後感を与えてくれる。DTWもフロア・クラシックのSeconds of your Loveやミディアム・ソウルのWhat About My LoveでThe Poetに似た肌ざわりの演奏をきかせてくれる。また、その頃のLeon Ware作品での客演も聴きどころが多いものが多い。

ナマDTWを初めて見たのは2012.08.07にZepp札幌で行われたマリーナ・ショウ featuring チャック・レイニーのステージだ。Who’s bitch~の録音メンバーでアルバム全曲+@を演奏するという内容のライブでDTWの他、レイニー、メイソン、ナッシュが集まった。演奏は「良かった」ということ以外は記憶に残っていないが、カーテンコール時に感極まってしまった私はステージ前に駆け寄り、DTWに向かって「Motown, the best!」と叫び、着用していたモータウンのポロシャツのロゴを指さし誇示したときに「Oh, Motown, Of Course」と微笑みを向けてくれたことを心地よく記憶している。
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