
Methenyのアルバムで昔からよく聴くのは①First Circle②Still Life③Offramp④Beyond Misouri Sky⑤We live hereあたりで、Geffin後のCDも買い揃えてはいるものの、トレイに乗っける機会はあまりありません。Day Tripなどは聴くといいのだけど、どうしても70年代後半から80年代の作品に魅かれます。Methenyは一度だけ生で見ました。20年くらい前に札幌市民会館に師匠筋のGary Burtonとのデュオコンサートに行きましたが、2人の求道者が美しい音を求め、奏でる素晴らしい演奏だったと記憶しています。
今年に入って、Methenyの80/81独盤(1980)、Offramp邦盤(1982)、Travels邦盤(1983)、Still Life米盤(1987)をアナログで入手し聴いていますが、これがなかなか良いです。各作品のすばらしさは、既に時代の検証にも耐えた作品であり、いずれの盤も専門家の方々の詳細な解説に容易に触れることができますので、そちらに譲りますが、80/81以外の3作品はいずれもグラミー賞ベスト・ジャズ・フュージョン・パフォーマンスに選ばれている名盤です。

Methenyは後にSongsxで共演する、Ornet Colemanに心酔していたようですが、80/81はその傾向が強く打ち出されれていて、Charlie Haden, Dewy Redman のオーネット組のメンバーを起用し、フュージョンを期待するリスナーの嗜好と迎合していないという点で玄人評価の高い「高尚な作品」になってしまった感があります。正面からJAZZに取り組んでいる分、JAZZリスナーから高い評価を得た一方で、ポピュリズム的評価がそこまで高まらなかったのかもしれません。OfframpにはJames, Travelsには表題曲、Still LifeにはLast Train Homeのメロディーの美しいキラーチューンが存在しますが、80/81の売りはインプロビゼーションにあり、わかりやすいメロディーの曲はありませんので、その辺の影響もあるのでしょう。僕はHadenが大好きなのと、ここでテナーを吹いているMichael Breckerの音にノックアウトされまして、本盤がターンテーブルに乗る機会は多いです。

3作品がECM、Still LifeがGeffinのもの。ECM盤はアイヒャーECMなので当然基本的には音がいいのですが、それに引けを取らないのがのがNYパワーステーション録音、MasterdiskのBob LudwigによるマスタリングのStill Lifeのアナログ盤でした。聴きなれたCD盤(オリジナル)には無い音の立体感、各楽器の鳴り分け、低音の太さがあり、流石マスタリング界における大御所の仕事です。Bob Ludwigについては、いろいろな方が語っていますが、「Bob Ludwigという人物が非常に重要なポイントで、“RL”刻印=Bob LudwigがあるレコードはLudwigがマスタリングを手掛けた高音質なレコードである、というお墨付きになるのです。ジャズのレコードにおけるRVG刻印(Rudy Van Gelder)、ロック・ポップス界でのRL刻印(Bob Ludwig)といった感じでしょうか。日本でいう小鐵徹でしょうかね。Bob Ludwigの手掛けたレコードは数え切れない程あります。アーティストからの信頼も厚くRollng Stones、Bruce Springsteen、Police、Jimi Hendrix、Eric Clapton、Daft Punk等々、挙げたらキリがなく、そのどれもが世紀の名盤ばかりです。彼はMASTERDISKとSTERLING SOUNDのどちらでも副社長を務めており、STERLING刻印がある盤にも“RL”刻印の入っている物が多数あります。」というレコードオリジナル盤を追い求める中古レコード屋さんのお話しを聞けば、なんとなく凄さがわかるのではないでしょうか。
所有するStill LifeにはRL刻印はありませんが、しっかりとMseterdiscの刻印がありました。RL刻印はないものの良き音です。OfframpもPowerstation録音ですが、邦盤特有の「音はいいけどおとなしい感じ」のマスタリングとなっています。Masterdiscの刻印もありませんが音質が劣るというわけではなく、その様な特性を持つ音のレコードということだと思います。アナログ盤のAre you going with me?のシンセギターの音は、より陰鬱な湿り気を感じさせてくれレコードの良さを体感できる気がします。
Travelsはしみじみと良いライブレコードです。録音も素晴らしいです。Travelsのタイトル曲を聴くと、昔のことが走馬灯のように脳裏に映し出されてしまいます。自分のお葬式ではこの曲を延々とリピートしてほしいですね(笑)
ECM盤はこまめにレコ屋をチェックしているとたまに見かけますので、程度の良いFirst Circleがあれば狙っていきたいところです。懐具合と相談ですが。
Pat Metheny
80/81
Pat Metheny guitar
Charlie Haden bass
Jack DeJohnette drums
Dewey Redman tenor saxophone
Michael Brecker tenor saxophone
Recorded May 26-29, 1980 at Talent Studio, Oslo
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Produced by Manfred Eicher

Pat Metheny Group
Offramp
Pat Metheny guitar, guitar synthesizer
Lyle Mays keyboards
Steve Rodby basses
Nana Vasconcelos percussion, berimbau, voice
Dan Gottlieb drums
Recorded October 1981 at Power Station, New York
Engineers: Jan Erik Kongshaug and Gragg Lunsford
Produced by Manfred Eicher

Pat Metheny Group
Travels
Pat Metheny guitars
Lyle Mays piano, synthesizers, organ, autoharp, synclavier
Steve Rodby basses
Dan Gottlieb drums
Nana Vasconcelos percussion, voice, berimbau
Recorded July, October, and November 1982
Engineer: Randy Ezratty
Produced by Pat Metheny and Manfred Eicher

PAT METHENY GROUP: STILL LIFE (TALKING)
Pat Metheny / acoustic & electric guitars, guitar synth, co-arranger & co-producer
Lyle Mays / piano, keyboards, co-arranger & co-producer
Steve Rodby / acoustic & electric bass
Paul Wertico / drums
Armando Marçal / percussion, backing vocals
David Blamires / vocals
Mark Ledford / vocals
Recorded March/April 1987 at Power Station, New York, New York. Engineer: Rob Eaton, assistant engineer: Alexander Haas. Produced by Pat Metheny, Co-Producer: Lyle Mays, Associate Producers: Steve Rodby & Paul Wertico, with Steven Cantor and David Oakes. Originally Mastered by Bob Ludwig at Masterdisk, Remastered by Ted Jensen at Sterling Sound, New York, New York.


愛のカフェ・オーレ!?
コメントを残す