近所の古物商でBEST STUFF(STUFFのベストな選曲ではない微妙なベスト盤)を発掘し、STUFFのアルバムはほぼコンプリートです。オリジナルアルバム3枚、ライブ盤2枚、ベスト盤1枚、再結成後のThe Right Stuffに必携のモントルーのライブDVDです。ほぼ、というのはモントルーライブのCDが出ているのですが、DVDは所有していますし高いので買っていません。


1976 Stuff (Warner Bros.)LP/CD

1977 More Stuff (Warner Bros.)LP/CD

1978 Live Stuff (Warner Bros.)LP/CD

1979 Stuff It (Warner Bros.)LP/CD

1980 Live in New York (Warner Bros.)LP

1996 The Right Stuff (Warner Bros.) CD

2008 Live at Montreux 1976 (Eagle Rock) DVD

スタジオミュージシャン的な活動をしてきた腕利きの職人たちがGordon Edwardsに集められ、最初はThe Encyclopaedia of Soulというバンド名で出発しようとしたところ「なげーよ」とレコード会社からダメだしされ、STUFFと命名。グループとしてのリーダーアルバムは数枚ですが、それぞれのセッション客演盤は星の数ほどあるといっていいでしょう。どれも甲乙つけがたい好盤ですが、Live at Montreuxの映像を見たときは嬉しかったです。職人気質の若者が黙々と演奏している姿が目に焼き付いています。
Eric Gale、Richard Tee、Cornel Dupree、Steve Gaddのソロもそ少しづつ集まっていますが、道半ばです。コンプリートする気はありません。Godon Edwardsはソロ作品は持っていませんが(そもそもあるのか?)John LennonのMind Gamesをはじめ Paul Simon, Robert Palmerなど幾多のアルバムで素晴らしい演奏が聴けます。
Eric Gale
1973 Forecast (Kudu)CD
1977 Multiplication (Columbia)CD
1977 Ginseng Woman (Columbia)CD
1979 Part of You (Columbia)CD
1980 Touch of Silk (Columbia)LP
1982 Blue Horizon (Elektra/Musician)LP
1982 In the Shade of a Tree (JVC)LP
Richard Tee
1979 Strokin’ (Tappan Zee/Columbia) LP/CD
1980 Natural Ingredients (Tappan Zee) LP/CD
1985 The Bottom Line (Electric Bird) CD
1989 Inside You (Epic/Sony) CD
1993 1992 Real Time (One Voice) CD
1996 The Right Stuff (P-Vine) CD
2012 Real Time Live in Concert 1992 (Videoarts) CD(激レアアイテム)
Cornel Dupree
1974 Teasin’ (Atlantic) LP/CD
1978 Shadow Dancing (Versatile) LP
1995 Bop ‘n’ Blues (Kokopelli) CD
Steve Gadd
1984 Gaddabout (Electric Bird) CD
1986 The Gadd Gang (Columbia) LP/CD
1988 Here & Now (Columbia) CD
今回、このエントリーを書くことにしたのは、近所のハードオフでたまたま購入したSalina JonesのMy Love(Stuffをバックに従えた日本企画盤)を聴いて、思わずのけぞってしまうほど素晴らしかったからです。まず、STUFFの力の抜け加減が素晴らしい。そして、Teeの歌唱もいつもながら素晴らしい。次に、JVCの録音の音がよい(見本盤!)最後に、StevieのLatelyのカバーが素晴らしい、と聴きどころが多々あったからです。

STUFF、あるいはコアメンバーをバックに従えて作られたポピュラー系のアルバムは、Van McCoy の The Real McCoy (1976)なんかが有名ですが、Joe Cocker STINGRAY(1975)やPaul Simon ONE TRICK PONY(1980)、Roberta Flack I AM THE ONE(1982)も良いレコードですね。Jazz畑では Carla BleyのDINNER MUSIC(1975)という名盤もあります。ナベサダさんの数枚は複数のSTUFFメンバーによるサポートという時期もありました。Salina Jonesは完全にスルーしていて、Stuffとの共演も中古盤を見て初めて知りました。たまたま日本に居合わせたJonesとStuffをJVCのプロデューサーが引き合わせ、2日ででレコーディングをしたとか。ツインドラムのChris Parkerは来日していなかったようですので、録音メンバーにはいません。
A1 Everyday Written-By – B. Withers, R. Tee
A2 My Love Written-By – P. McCartney-L. McCartney*
A3 Best Thing That Ever Happened To Me Written-By – J. Weatherly*
A4 Teach Me Tonight Written-By – Gene Paul, Sammy Cahn
B1 Help Me Make It Through The Night Written-By – K. Kristofferson
B2 Loving Arms Written-By – T. Jans*
B3 I Don’t Want To Be Alone Tonight Written-By – S. Silverstein*
B4 Lately Written-By – S. Wonder*
それにしても、演奏のクオリティーが高いです。こんな、レイドバックしたグルーブをバックに歌うことができたJonesは、大層気持ちがよかったのではないでしょうか。ゆったりした曲が多いですが、非常に黒い演奏です。月並みな表現になってしまいますが、STUFFにしか表現できない足腰の低い溜めのきいた演奏です。あと、このレコードを企画した日本人プロデューサーは絶対にフェイザーをたっぷり利かせたティーのローズ・エレピの音が大好きなのだと思います。A4、B3ではTeeのメロウなエレピイントロが聴けます。Billy Joelの素顔のままでのイントロはティーが弾いていて、あれはあれで痺れますが、これらの曲のイントロもGaleのギターとの絡みが最高で痺れっぱなしです。僕はティーのボーカルも大好きで、1位はGadd Gangのファーストに入っているEverything you do、2位はPaul SimonのOne-Trick Ponyに収録されているAce in the Hole(ライブ盤のほうが良いです)。このアルバムのI don’t want to be alone tonightが素晴らしく、3位のBottom Line収録のSpring is Youに肉薄しています。どうでもいいことですが(笑)

本盤はギターも非常にきれいに聴こえます。A4ではEric Galeのセミアコの泣き節が聴けますし、要所要所でDupreeのテレキャスの乾いたソロも聴けます。A1でGale、A2でDupreeのソロがあり、それぞれ個性の違いが際立っていて面白いです。Galeのソロは金太郎あめのように同じフレーズを弾いていますが、聴いていて全く飽きません。
JonesのボーカルもVaughnっぽく聴こえる場面もあるけれどスキャットなどは入れずに、マイルドな歌い口でSTUFFの演奏に身をゆだねる感じでよいチームワークとなっています。ジャズボーカルはちょっと、という向きもいらっしゃいますが、演奏だけでも聴くだけで価値がある一枚ではないでしょうか。A1冒頭のGaddのバスドラ一発目で「ああSTUFFだわ」となってしまいます。一晩二晩音合わせしただけで、これほど一体感のある演奏を聴かせてくれるとは、やはりSTUFFは只者ではありませんね。本盤は比較的廉価で出回っているようなので、気になる方は是非一聴を。
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