備忘録 猟盤記録Vol.8 Stevie Wonder_Original Musiquarium_Do I Do(1982)

ヤフオクでStevieのOriginal Musiquarium(1982)のアナログ盤を落札。2枚組で300円、送料900円とずいぶんとお得に入手できました。CDを所有済みですが、Do I Doをアナログで聴きたいという我儘な願望が頭をもたげ、そんなところに300円の出物があったものでつい入札。本作はベスト盤の扱いですが、Do I Doを含む新曲が4曲含まれており、それを聴くだけでも”買い”だと思っています。

Music of My Mind(1972)、Talking Book(1972)、Innervisions(1973)、Fulfillingness’ First Finale(1974)、Songs in the Key of Life(1976)の5連続作品は、才気に満ちた、神がかっているアルバム作品といってもいいでしょう。いずれもソウルミュージック史に燦然と輝く超名作で、それぞれをアルバム単位で聴く価値が十分あります。Key of Life以降のStevieは1980年にHotter than Julyを発表し、淡い輝きを放ちますがその後のオリジナルアルバムは、個人的にはあまり惹かれる内容のものはありません。この5部作+Hotter than JulyはCDで揃えた上に、全部アナログでも揃えてしまったほど好きなアルバムです。そして、本盤の新曲4曲でStevieは龍に目を入れた、と勝手に思っているのです。

Do I DoはStevieの数ある楽曲の中でも最もFloor Anthem然としたダンサブルな楽曲の一つでしょう。Another Starがディスコ(笑)で大人気だったと聞いたことがありますが、Do I Doも負けじとフロア映えするナンバーだと思います。メロディーのすばらしさもありますが、気心知れたメンバーの楽器が織りなすグルーブ感で自然と体が動きます。屋台骨は”I Wish”, “As”, “I Ain’t Gonna Stand for It” などで細かく刻むラインを聴かせてくれるNathan Wattsのベースと “Master Blaster (Jammin’)”でミュートが効いた音が印象的なDennis Davisのドラム。それにDonny Hatahway のLIVE!Ghettoで印象的なパーカッションを聴かせたDennis Davisが加わり、10分間夢心地のグルーブが続きます。途中、Stevieが”Ladies and gentleman, here’s the legend, Dizzy Gillespie”の紹介後に抑制のきいたDIZZY GILLESPIEのトランペットソロが入ってきて、カッコよさここに極まれり、という感じですが直後に続くStevieのハーモニカソロもキレッキレで、曲のこのあたりで昇天してしまいます。

歌詞に視線を転じると、When I see you on the street My whole body gets weakで始まる本作品は、ある男が、多少距離感がある女性に思いを寄せる、他愛もないラブソングの類です。歌詞の世界観に穢れが全くない素晴らしい散文になっています。Living for the cityやHigher Groundなど社会問題をテーマにした名曲も多いですが、Stevieのすばらしさの一部はYou are the sunshine of my lifeやIf you really love meなどの湿っぽくない無垢なラブソングにあると思っています。StevieにはMarvinのLet’s get it onの世界観は似合いません。

このアルバムには新作バラードRibbon In The Skyも収録されています。いつぞやのFMの番組で、久保田利伸がStevieで一番好きな曲と云っていましたが、Slow Jamの大名曲です。リードシングルとなったThat girlも佳曲です。ベスト盤に新曲やレアナンバーを忍ばせる戦法は定石ですが(Best of the BandのTwighlightやLong Strange Trip, Best Of Grateful DeadのDark Starシングルバージョンなど)、本作はそういった意味でアルバム片面分が新作で、おまけに過去の名曲を並べたお得感満載の盤です。ブックオフで500円くらいでCDが売っていることもありますので気になる方は是非ご一聴をお勧めします。(ベスト盤としての選曲はありきたりですので、上記6作品はアルバム単位で聴くのがベターです)

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