備忘録 猟盤の記録:1975年特集vol.1-There’s No Place Like America Today – Curtis Mayfield

2025年から50年を差し引くと1975年。同年には多くの名盤がリリースされていて、愛聴盤も多数ありますのでアナログ所有縛りということで備忘録をつけていきたいと思います。自分は当時5歳児だったので、すべて物心ついてから聴いた音楽ですが、中には30年来の愛聴盤もあります。Katy Lied-Steely Dan、Blues For Allah-The Grateful Deadなど高値がついていててアナログを購入できてない1975年発売の名盤もたくさんありますが、追々ということで。

トップバッターはCurtisのThere’s no place like America todayです。19歳の時に琴似のRecords Recordsで購入したものだと思います。Curtis Mayfieldの音楽はImpressions時代も含め、ほぼすべて全部好きなのですが、1枚を選ぶなら本作になります。Impressions時代に高らかにWe are a winnerを歌い、ソロ・ファーストで意気揚々とMove on upを歌った楽観的な公民権運動の推進者から、現実社会を俯瞰して眺めるアーティストとして、立ち位置を変えた作品のような気がしています。アルバム全体を通して銃暴力、経済的苦境、都市生活の苦闘を静観する立場で描いていますが、A3,B1など愛や宗教に救いを求める曲もあり、アルバムを通してバランスが取れた曲構成になっていると思います。時代背景に由来する歌詞に込められたメッセージも看過できませんが、本作の魅力は、何とも言えないスロー/ミディアム・ファンクの唯一無二の雰囲気にあると思っています。カーティスのファルセットボイスとQuinton Josephの独特のドラム、Lucky Scottのベース、ワウワウがかかったPhil Upchurch等のギターが、抑制された音数でグルーブします。山下達郎さんが生涯の1枚に本作を挙げていましたが、黒人以外には絶対にたどり着くことができないブラックネスが本作には横溢しています。

カバーアートは、1937年のマーガレット・バーク=ホワイトによる黒人洪水被害者の写真をモチーフにした作品で、分断された社会をアイロニーに満ち溢れた表現で揶揄しています。

A1                       Billy Jack

A2                       When Seasons Change

A3                       So In Love

B1                        Jesus

B2                        Blue Monday People

B3                        Hard Times

B4                        Love To The People

アルバムを通して全曲聴くことをお勧めしますが、ミディアムファンクの妙が感じられるB4のYoutubeを貼り付けておきます。別アルバムからのOnly you babeとカップリングでシングルカットされています。ホーンセクションのゆるい演奏が入り、気持ちの良いファンクネスを味わうことができます。

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