そもそもLeon Redbone(LR)を好んで聴いている人は、日本に多くいるわけではないと思いますが、好きな人はとことん好きというアーティストかと思います。私は20数年前にCDで本作を購入し、気に入って昨年仙台でアナログ盤を見つけて買ってしまいました。LRのクリスマスアルバム、Christmas Island(1988)も好きで(Dr. JohnとのFrosty the Snowmanが良いです)、その時期になるとよくCDトレイにのっけてしまいます。
謎の多い人ですが、こういうエピソードを読んだことがあります。ディランが1974年にカナダのフォーク・フェスティバルでLRと共演し、こう語っています。「彼の年齢は25歳から60歳までと聞いている。彼から1.5フィートしか離れていないんだけど、全然わからないんだ。彼は昔のジミー・ロジャースをやって、それから振り返ってロバート・ジョンソンをやるんだ」出自、年齢など不詳とされていましたが、Wikiには2019年に69歳で他界し生まれがキプロスでカナダで育ったと記載があります。
LRのデビュー作となる本作品はラグタイム、ティン・パン・アレー、戦前ブルースをその当時の味付けで1975年に作るとこうなりました、というようなアルバム。もともと懐古主義的な楽曲を集めているため、2025年の今聴いても、逆に古さが感じられません。ギター、ハーモニカ、口笛そして眠気を誘うようにゆったりとしたボーカルで、時空を超えたムードを醸す名人芸を繰り広げてくれます。全体的におとぼけ感というかユーモアを感じることができ、音にぬくもりがあります。特徴的なアルバムカバーはトムジェリも描いていたChuck Jonesのミシガン・J・フロッグというキャラクターで、劇中ではこのカエル君がラグタイム、ティン・パン・アレーを歌うそうです。LR自身をカエルのキャラクターに重ねたのかもしれません。


A1″Sweet Mama Hurry Home or I’ll Be Gone” (Jack Neville, Jimmie Rodgers) – 2:49
A2″Ain’t Misbehavin'” (Harry Brooks, Andy Razaf, Fats Waller) – 4:03
A3″My Walking Stick” (Irving Berlin) – 3:41
A4″Lazybones” (Hoagy Carmichael, Johnny Mercer) – 3:06
A5″Marie” (Irving Berlin) – 4:24
B1”Desert Blues (Big Chief Buffalo Nickel)” (Jimmie Rodgers) – 3:42
B2″Lulu’s Back in Town” (Al Dubin, Harry Warren) – 2:34
B3″Some of These Days” (Shelton Brooks) – 3:16
B4″Big Time Woman” (Wilton Crawley) – 2:44
B5″Haunted House” (Lonnie Johnson) – 4:58
B6″Polly Wolly Doodle” (Traditional) – 2:56
A2,A4B1など広く知られたメロディーは当然ですが、その他の初めて聴く曲も、なんだか耳なじみがあるように感じてしまうのは、アレンジの妙というところでしょうか。プロデューサーがR&B寄りのJoel Dornということで、クレジットにRalph MacDonaldの名前もありますし、全編ガッドがドラムを叩いています。おそらく、ガッドの仕事としては音数が少ないという意味で、一番楽チンできた仕事なのではないのでしょうか。
ファッツ・ウォーラーの名曲Ain’t Misbehavinを貼り付けておきます。
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