Discosでは1974年ですが、All Music Guideでは1975年リリースとなっているので、(好きすぎて)取り上げることにします(笑)。Kenny Rankin(KR)は日本のAOR名盤紹介でよく名前が上がるアーティストですが、AORだけで括るのには若干違和感があります。ニューヨーカーのKRは50年代にDOO Wop曲などを作ったり、Carmen McraeなどにJAZZ曲を提供していました。ディランののBringing it all back home(1965)でギタリストの一人としてクレジットを残しており、ずいぶん後になってSubterranean Homesick BluesやMaggie’s FarmのアコギがKRと知って、驚いた記憶があります。ソロ作品では、Silver Morning(1975), Inside(1975),Kenny Rankin(1977)あたりが名盤扱いされているかと思います。確かに、Kenny Rankin AlbumではSteven BishopのOn and OnをやったりしてAOR路線の作品もありますが、本質はギターがめっちゃうまい、ジャズ寄りの優れたポップミュージシャンということでしょう。上記3作品はいずれも好盤でよく聴いていますが、本作が一番KRらしさが出ている作品ではないでしょうか。
KRらしさは、①ガットギターを速くうまく弾くこと②スキャットなど入れた技巧的歌唱③ほかのアーティストの楽曲の解釈の良さ(要はカバー上手ということですね)にあるのではと思っていますが、本作品はそれらをすべて満たしている作品になります。ジョンとポールが作曲家殿堂入りする際に、ポールに乞われて本作品でカバーしたBlack Birdを歌ったとか、アントニオ・カルロス・ジョビンに「あんたはボサノバの解釈が抜群だ」と言わしめたり、ミュージシャンズ・ミュージシャンの一面を持つアーティストでもあります。


A1 Silver Morning 4:17
A2 Blackbird 2:58
A3 In The Name Of Love 3:22
A4 People Get Ready 2:58
A5 Killed A Cat 4:18
B1 Haven’t We Met 2:24
B2 Penny Lane 2:42
B3 Pussywillows Cattails 3:22
B4 Catfish 2:48
B5 Berimbau
A2,B2がレノン・マッカートニー作品、A4がカーティス、B3がゴードン・ライトフット、B5がブラジル人、ヴィニシウス・デモラエスの曲です。この人は別のアルバムでもビートルズの曲を取り上げていますが、いずれも素晴らしい出来栄えだと思います。個人的にはA3の自作曲In the Name of Loveが大好きで、高速ボッサ、ガットギターの早引き、スキャットを交えたボーカルとKRの良さが詰まった曲だと思っています。この曲を貼っておきます。
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