語りつくされたアルバムですが、良いものは良いですね。リアルタイムで聴いたスプリングスティーン(BS)はMTV全盛期のBorn in the USA(1984)で、当時はGlory Daysの曲とMVが大好きでした。その後、クラスメイトからRiver(1980)の90分テープをもらい、Hungry Heartを聴いて武者震いをした記憶がります。しかしBSで一曲を選べ、となると本盤のThunder Roadということになります。自由と解放、解放と逃避、人生と生きることをテーマにメロディ、歌詞の世界観すべてがくすぶっている若者の心をわしづかみにする、そんな曲かと思います。アメリカに住んでいた時に、歌詞の一節Show a little faith, there’s magic in the night(少し信じてみなよ、夜に魔法が起こるかもしれない)の文言のTatooを腕に彫っている男に出会ったことがありますが、歌詞のどの部分を切り取ってもロマンチストのマントラになりうるパワフルなメッセージが込められています。好きなアルバムなので、発表年代別のCD数枚と30周年記念CDボックスセットも買ってしまっています。
アーセナルファン日記Fever Pitchの著者Nick HornbyがThunder Roadについて、こんな文章を残しています。“Maybe the reason “Thunder Road” has sustained for me is that, despite its energy and volume and fast cars and hair, it somehow manages to sound elegiac, and the older I get the more I can hear that. When it comes down to it, I suppose that I, too, believe that life is momentous and sad but not destructive of all hope, and maybe that makes me a self-dramatizing depressive, or maybe it makes me a happy idiot, but either way “Thunder Road” knows how I feel and who I am, and that, in the end, is one of the consolations of art.”
「この曲が私の心を捉えて離さないのは、そのエネルギーとボリューム、速い車と髪(?)にもかかわらず、なぜかエレガントに聞こえるからかもしれない。歳をとればとるほど、そう思えるようになった。 突き詰めれば、人生とは刹那的で悲しく、自虐的な鬱病、はたまた幸せな阿呆そのものかもしれないが、すべての希望を破壊するものではない、と私は信じている。いずれにせよ『サンダー・ロード』という曲は私がどのように感じ、どんな人間であるかを知っている、聴くものに慰めを与える芸術表現である。」


所有しているアナログは日本盤で、高値で取引されているUKオリジナル盤やUS初期盤ではありません。音が飛び出してくるといわれている、オリジナル盤で是非聴いてみたいものですが、購入するのは高すぎて無理でしょうね。
A1. “Thunder Road” 4:49
A2. “Tenth Avenue Freeze-Out” 3:11
A3. “Night” 3:00
A4. “Backstreets” 6:30
B1. “Born to Run” 4:30
B2. “She’s the One” 4:30
B3. “Meeting Across the River” 3:18
B4. “Jungleland” 9:34
全曲素晴らしいですが、A1、A2、B1はBSのシグナチャーソングスとして外せない曲です。ベスト盤でそれらの曲を聴くよりも、アルバム通しで聴くと、ストーリー性が感じられるのでお勧めです。
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