備忘録　猟盤の記録：1975年特集 vol.13－Steppin－The Pointer Sisters

Slow HandやJumpなど80年代のエレクトリックファンク系のPointer Sisters(PS)に耳が慣れた自分は、後追いで聴いた70年代のPSの音楽が新鮮に聴こえました。JAZZあり、カントリーあり、FUNKありでかなり作りこまれたアルバムは聴きごたえ十分です。おっかない牧師のお父さんのもと、教会で仕込まれたゴスペル4姉妹ですので、歌唱力も相当なものです。ブルーサムレーベル時代の作品はどこかノスタルジックで、時代の最先端から意図的に距離を置いたコンセプトの作風が好きですね。

目を引くのは制作陣の多彩さです。Stevie Wonder, Herbie Hancock, Wah Wah Watson, Paul Jacksonがバックを務める曲があり、作曲陣にはAllen Toussaint, Isac Hays, Burt Bacharach, Taj MahalそしてEllingtonメドレーまで収録されています。本作はPSの3作品目にあたりますが、既にファーストアルバムThe Pointer Sisters（1973）のYes We Can Canでスマッシュヒットを飛ばしています。オバマ大統領の選挙運動でさかんに流れていた、Toussaintのあの曲です。オリジナルのLee Dorsey「Yes We Can」（1970年）よりも、Funkyな仕上がりになっています。本作品からシングルカットされた”How Long (Betcha’ Got a Chick on the Side)”がグラミーにノミネートされています。

A1 How Long (Betcha’ Got A Chick On The Side)
Written-By – A. Pointer*, B. Pointer*, D. Rubinson*　7:21
A2 Sleeping Alone
Written-By , Electric Piano – Stevie Wonder 4:29
A3 Easy Days
Written-By – A. Pointer*, B. Pointer*, I. Hayes*, J. Pointer* 3:37
A4 Chainey Do
Bass – Paul Jackson (2) Clavinet – Herbie Hancock Percussion – Bill Summers
Written-By – W. Mc Tell*, T. Mahal* 6:05

B1 I Ain’t Got Nothin’ But The Blues (A Medley In Tribute To Duke Ellington) 6:08
B2 Save The Bones For Henry Jones
Written-By – D. Barker*, V. Lee* 3:10
B3 Wanting Things
Written-By – B. Bacharach*, H. David* 3:11
B4 Going Down Slowly
Lead Vocals – Ruth Pointer
Written-By – A. Toussaint* 7:56

自分はセカンドシングルとなったGoing Down Slowlyが気に入っています。Toussaintの曲でWah Wah WatsonのワウワウとPaul Jacksonの重厚なベースで、レゲエビートを奏で、4姉妹のDoo Wopが重なってきますが、なかなかのFunkっぷりです。Robert PalmerのSneakin’ SallyやストーンズのBlack and Blueの感覚に似たものを感じます。