アルバム(CD)をほぼコンプリートしている数少ない女性アーティスト、Bonnie Raitt(BR)の5作目のアルバムです。いいアルバムですが、発表当時も注目されず、現在も埋没している作品ですね。良さを伝えていかねば。
一般的にBRが世に知れ渡るのは10作目のアルバムNick of Time(1989)でグラミーを総なめにしたタイミングかと思います。それまでは、良いアルバムを作ってきていましたがヒットには至らず、レコード会社から契約打ち切られるなど辛酸をなめる時期もありました。ただしかし、SSWシーンで活躍するライターの曲を歌い、70年代にも多くの名曲を残しています。Eric KazとLibby Titus作曲の Love Has No PrideやJohn PrineのAngel From Montgomeryなどは比較的知られた曲かもしれません。歌も看板のスライドギターも上手い上に、若いころから社会情勢や世界の不平等に目を向ける才女の一面もあります。ハーバードのラドクリフ・カレッジに入学し、社会関係学とアフリカ研究を専攻し、当時アパルトヘイトやアミン大統領に対峙し、汎アフリカ主義を唱道したジュリアス・ニエレレ(のちの大統領)を尊敬し、タンザニアで研究しようとした時期もあったとのことです。
以前Just Like Thatのエントリーでも書きましたが、同曲で2023年のグラミーでSongs of the yearを受賞しています。早逝した息子が臓器移植し、数年後移植先の相手が、息子の母を訪ね感謝を伝える様子を淡々と歌ったカントリー風の自作の歌です。
素晴らしい曲なので貼っておきます。
本盤に関してはそれまでのナイーブな4作品から路線変更し、ブルージーさも少し影を潜めポップなつくりになっています。アルバム全体を通して聴くと、多少散漫な印象もありますが、ファンにとってはそこもまた魅力と捉えてしまいます。バックメンバーはJDサウザー、ジョン・セバスチャン、ジャクソン・ブラウン、ローズマリー・バトラー、フレッド・タケット、トム・ウェイツまでスター級を入れ代わり立ち代わり使い放題ですが、朋友Fleeboのベースが統一感を保たせていますね。ノーマン・シーフのカバー写真もご愛嬌という感じでしょうか。


A1 What Do You Want The Boy To Do 3:18
Written-By – Allen Toussaint
A2 Good Enough 2:55
Written-By – Johanna Hall, John Hall*
A3 Run Like A Thief 3:01
Backing Vocals – Jackson Browne, J. D. Souther*, Rosemary Butler, Terry Reid
Autoharp – John Sebastian
Written-By – John David Souther
A4 Fool Yourself 3:03
Backing Vocals – Jackson Browne, Rosemary Butler, Terry Reid
Written-By – Fred Tackett
A5 My First Night Alone Without You 3:01
Written-By – Kin Vassy
B1 Walk Out The Front Door 3:08
Written-By – Rip Stock*, Mark Jordan
B2 Sugar Mama 3:44
Written-By – Delbert McClinton, Glen Clark
B3 Pleasin’ Each Other 3:44
Written-By – Bill Payne, Fran Tate
B4 I’m Blowin’ Away 3:22
Backing Vocals – Emmylou Harris, Jackson Browne, J. D. Souther*
Written-By – Eric Kaz
B5 Sweet And Shiny Eyes 2:43
Backing Vocals – Debbie Greene, Greg Prestopino, Jackson Browne, John Herald, Tom Waits, Willow Van Der Hoek
Written-By – Nan O’Byrne
1975年にリリースされたAllen ToussaintのSouthern Night(アナログで欲しいけど、なかなか出会わないですね)からWhat Do You Want The Girl To DoをBoz Scaggsより先にカバーした本作はやはり良いですね。GirlをBoyに置き換えて歌っています。
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