備忘録 猟盤の記録:1975年特集 vol.19 Keith Jarrett – Death and the Flower

Keith Jarrett(KJ)は同年にKoln Concertという代表作品を残しており、本盤の影は薄いのですが良盤です。両方ともCDで所有していますが、家ではKoln Concertはほとんど出番がなく、本作はたまにトレイに乗っけて聴いています。アナログで見かけても食指が動きません。ソロ作品が嫌いというわけではなく、Solo Concerts: Bremen/Lausanne(1973年)とStaircase(1977)はアナログでも買っていますし、慢性疲労症候群からの復帰直後にリラックスした雰囲気で録音したMelody At Night With You(1998年)も発売当時から今まで相当聴いてきた気がします。大名作とされるKoln Concertの魅力がわからないのは、青二才の自分には即興演奏の良否の判別がつかないということなのでしょう。

1960年代から、左半身まひ状態になる2020年まで多数の名演、名盤を残してきています。KJの熱烈ファンではありませんが、Charlie Haden の熱烈ファンの自分としては2007年にリリースしたデュオ作品、JasmineとLast Danceが一番好きですね。

本盤のパーソネルは以下の通り。

Keith Jarrett (P, Ss, Wood Fl, Per)
Dewey Redman (Ts, Per)
Charlie Haden (B)
Paul Motian (Ds, Per)
Guilherme Franco(Per)

まあ、Per以外はアメリカン・カルテットということなのですが、Somewhere Before(1969年)でMy Back Pagesをやっていた頃とは全く趣が違い、スピリチュアルで重々しく、耽美的な世界を繰り広げています。そして、1曲1曲が長いです。A面はDeath and the Flower、22分49秒の1曲のみ。ゲイトフォールドジャケットの内側に、KJの6編からなる詩が印刷されています。その1編はこんな感じになっています。

We should try to be more
Like a flower
Which every day experiences its birth
And death
And who therefore is much more prepared
To live
The life of a flower

端的に「私たちは、毎日誕生と死を経験する花のような存在になるよう努めるべきだ」とのメッセージが込められているようです。曲はパーカッションがなり始め、ピーヒャラと笛(KJ)が続き、しばらくしてヘイデンのベースが重なってきますが、なかなかピアノの音が聞こえてきません。5分経って初めてKJのピアノが入ってきて、その後チャルメラのようなレッドマンのサックスがリードを取っていく展開。曲終盤でKJが「生」を表現するべく、陽的なピアノを弾きまくります。重厚過ぎてドラマチックすぎるのですが、ヘイデン好きにはたまらないベースワークを楽しむことができる曲です。KJの冴えわたるピアノはほれぼれしますし、デューイ好きにはデューイの聴きどころがあり、モチアンの手堅いドラムも全体の雰囲気にハマっています。ロック畑のブルース・ホーンズビーがこの大作をクリスチャン・マクブライドとジャック・ディジョネットを従えてアルバムに残しているというのですが、聴いてみたいものです。

A1 ”Death and the Flower” – 22:49
B1 ”Prayer” – 10:12
B2 ”Great Bird” – 8:45

一番聴きやすいB1をあげておきます。


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