備忘録 猟盤の記録:1975年特集 vol.20 Atlantic Crossing – Rod Stewart

Rod Stewart(RS)はなんとなく芯がぶれていると思われ、ロックファンからいろいろと言われがちですが、1970年から1976年までに残した6枚のアルバムのうち、5枚は100点満点の出来栄えで、非の打ちどころがありません。Gasoline Alley(1970)、Every Picture Tells a Story(1971)、Never a Dull Moment(1972)のマーキュリー時代の神がかった3作品、ご愛嬌のSmiler(1974)はおいておきまして、ワーナー移籍後1枚目の本作と2枚目のA Night on the Town (1976)をロック史に残したというだけで、ロック界の偉人となった人です。

そのころの多くの英国ロッカーのご多分に漏れず、RSも米国R&Bの大ファンでした。RSが最も尊敬するアーティストがSam Cookというのは有名なお話ですが、声質も似ているので時々本当にクックに聴こえるような歌いっぷりを見せます。本作ではアトランティック、傘下のSTAXで数々のJazzやR&B名作を手掛けたTom Dowdをプロデューサーに迎え、RSのヒーローでもあるBooker&the MG’sやMenphis Hornsを起用し、Jesse Ed DavisやFred TacketやDavid Lindleyなど素晴らしいギタリストをスポット起用しています。不幸だったのが、シングルカットされたSailingの印象が強すぎて、本作がサザンロック指向の傑作という重要なポイントがいまいち埋もれてしまっているような気がするという点でしょうか。なんてたって、マッスル・ショールズ録音ですからね。マーキュリー時代の特徴として、若干英国フォークの香りがする要素をアルバムに取り入れていたと思いますが、本作と次作はタイトな演奏でA面はストーンズを意識したようなゴリゴリのロックンロール、B面はSlow Sideと銘打たれ、メロウな名曲を揃えています。

Fast Side
A1 Three Time Loser 4:03
A2 Alright For An Hour 4:17
A3 All In The Name Of Rock ‘N’ Roll 5:02
A4 Drift Away 3:43
A5 Stone Cold Sober 4:11
Slow Side
B1 I Don’t Want To Talk About It 4:47
B2 It’s Not The Spotlight 4:21
B3 This Old Heart of Mine 4:04
B4 Still Love You 5:08
B5 Sailing 4:37

A面はA1~A5までレイドバックしたロック名曲がそろっています。欲を言えばA4をSlow Sideに入れていただきたかった(笑)。B面もほぼ完ぺきで、特にB1からB3の流れはバッラッディアーRSの本領を発揮し、その秀でた歌唱力に聴くものがひれ伏してしまうでしょう。名曲が多くて迷いますが、結構好きなJese Ed DavisとRodの共作A2を貼り付けておきます。

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