備忘録 猟盤の記録:1975年特集 vol.23 Concierto-Jim Hall

このLPは、

Chet Baker(tp)
Paul Desmond (as)
Steve Gadd (d)
Jim Hall (g)
Ron Carter (b)
Roland Hanna (p)

という豪華なラインナップを誇っています。編曲はドン・セベスキー、アルバムのエンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダーでプロデュースはもちろんクリード・テイラーです。セベスキーのクレジットを見て嫌な予感がする向きもいるかもしれませんが、アランフェス交響曲以外ではその存在が気になりません。むしろ、本盤に関していうとセベスキーお得意の過剰なアレンジが影を潜め、オーソドックスなアレンジに好感が持てます。

この頃のCTIはフュージョンチックだったりソウルジャズだったりと、ストレートアヘッドなジャズはあまり見かけないのですが、本作は割かし直球のハードバップ作品です。各プレイヤーが抑制的に演奏を繰り広げているのがいかにもCTIっぽいサウンドではありますが、ベイカーとデズモンドのインタープレイがヒートアップする場面もあり、主役のホールの即興プレイも聞きどころとなっています。今でも売れ続けているアルバムで、CTIの歴代売り上げ五指には入っているのではないでしょうか。

Jim Hall(JH)で一番好きな演奏はBill Evansとのじゃない方デュオ作品Intermodulation(1966)のI’ve got you under my skinなのですが、その時もクリード・テイラーとヴァン・ゲルダ―コンビによるVerb録音でした。Joe Passのあけっぴろげな演奏っぷりも好きなのですが、JHのリリシズム漂ういぶし銀の演奏も大好きです。なんとなく、ギター界のEvansを思わせる完ぺき主義的なアプローチと哀愁あるフレーズと職人的な裏方魂が何時も素晴らしいです。晩年にCharlie Hadenとデュオ作品を残していますが、そのアルバムでも唯一無二の音色を聴かせてくれています。また、ベイカーも麻薬中毒明けを感じさせない素晴らしいトーンを響かせています。

A1 You’d Be So Nice To Come Home To 7:04
A2 Two’s Blues 3:48
A3 The Answer Is Yes 7:36
B1 Concierto De Aranjuez 19:17

A面がオーソドックスなジャズですが、B面がアランフェス交響曲1曲という構成です。マイルスとギルエヴァンスの決定的なバージョンがあるのでホールはやりたがらなかったようですね。理論的には本バージョンは原作から大きく逸脱しておらず、認識可能なメロディーラインとスペインの雰囲気を保ちながらも、マイルスのバージョンよりもさらにジャズ的なアプローチとなっていて、気軽に聴けるところがいいと思っています。マイルスバージョンは背筋を伸ばして聴かないと、的なすごみがありますので(笑)20分はきついと思いますので、帰ってくれたらうれしいわを貼っておきます。


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