契約消化のために作られたといわれていますが、好きなアルバムです。ジョンのソロ6作目で50年代のロックンロール曲のカバー集ですね。フィルスペクターのオーバー・プロデューシング気味のアレンジも、ジョンのボーカルが乗っかると映えてきます。選曲も素晴らしく、Rock N Rollと言いつつもニューオリンズR&Bが3曲も入っていたり、サム・クックもあり、ジョンのヒーローでもあるバディ・ホリーの持ち歌もあります。個人的にツボなのが、ビートルズではポールばかりカバーしていたリトル・リチャードの曲(A3)をジョンが味わい深く歌っているところです。ポールは技術的にリトルリチャードのシャウトをカバーしている感じがしますが、ジョンは心で歌っている雰囲気が好きです。
ビートルズ時代のCome Togetherがチャック・ベリーのYou Can’t Catch Meに酷似していて、一部で同じ歌詞が使われていたなど、ベリーの音楽出版社モリス・レヴィにジョンが訴えられていました。ジョンはレヴィが所有する3曲(A3, A7, B5)をレコーディングし、レヴィが印税を得られるように彼のアルバムで発表するということで、法廷外で和解を成立させています。結果的にはいずれの曲も本アルバムには無くてはならない個性となっていて、良い解決法だったのではと思ってしまいます。
バックバンドも豪華ですが、ジェシ・エド・デイビスが全編で渋いギターを聴かせてくれています。Dr. John、Leon Russel, Jim Gordonなどのクレジットもあり、そうだよなぁ、と納得してしまいます。


A1. “Be-Bop-a-Lula” Tex Davis, Gene Vincent 2:39
A2. “Stand By Me” Jerry Leiber and Mike Stoller, Ben E. King 3:26
A3. “Medley: Rip It Up/Ready Teddy” Robert Blackwell, John Marascalco 1:33
A4. “You Can’t Catch Me” (*) Chuck Berry 4:51
A5. “Ain’t That a Shame” Fats Domino, Dave Bartholomew 2:38
A6. “Do You Want to Dance” Bobby Freeman 2:53
A7. “Sweet Little Sixteen” (*) Berry 3:01
B1. “Slippin’ and Slidin'” Eddie Bocage, Al Collins, Richard Wayne Penniman, James H. Smith 2:16
B2. “Peggy Sue” Jerry Allison, Norman Petty 2:06
B3. “Medley: Bring It On Home to Me/Send Me Some Lovin'” Sam Cooke, John Marascalco, Leo Price 3:41
B4. “Bony Moronie” (*) Larry Williams 3:47
B5. “Ya Ya” Lee Dorsey, Clarence Lewis, Bobby Robinson, Morris Levy 2:17
B6. “Just Because” (*) Lloyd Price 4:25
ベスト・トラックはA1’Be-Bop-A-Lula’、A2’Stand By Me’(トップ20シングル)、A4’You Can’t Catch Me’、ファッツ・ドミノのA5’Ain’t That A Shame’の素晴らしいヴァージョン、B5Lee Dorseyの “Ya Ya”あたりかと思います。全部よいのですが、ジーン・ビンセントのこの名曲を。
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