備忘録 ネパール料理

10日間弱、ネパールはカトマンズとポカラに滞在した。仕事ではあったが、おいしかった料理を記録するのは罪になるまい。おいしかった料理の写真を撮ったので、一部備忘録として記録しておく。トランジット先のラウンジで強かに酔いが回った状態なので、乱文乱筆はご容赦ください。

まずはダルバートである。ダルバートは大皿に豆〈ダル=剥いた小粒の豆(ヒラ豆などを挽き割ったもの〉スープとごはん(バート)を中心に、カレー、サグ(青菜、多くはカラシ菜)、ジャガイモ一種はマストで数種のアチャール(漬物)からなる、いわばネパールの定食。タカリ族のダルバートが有名だがネワリ族も同様に定着しているとのこと。ネパールの食べ物と言えばまずこれで、食べ方は、ダルスープをインディカ米にかけ、さらにカレーのグレービーをかけて、手またはスプーンで混ぜ混ぜして食べます。カレー自体に辛味はさほどない場合が多く、アチャールの中に非常に攻撃的な辛いものが含まれていることが多いです。

カトマンズのタメル地区は観光客の根城として知られていますが、タメルのど真ん中にあるタカリ・ブンチャのダルバートは美味でした。ラムとワイルドチキンの組み合わせ(通常、肉は一種だけど、2種付きのスペシャルなんちゃらを頼みました)は中年男の胃袋を質量ともにかなり刺激してくれましたが、優しいダルスープが中和剤のようで、最後までおいしく楽しむことができました。ダルバートはポカラの宿でも毎日食べましたが、タメルの味付けが一番濃かったような気がしてます。

そのほか、ネパールでおいしかったものを数種類記録しておきたいと思います。そば粉を水で練って、あげた揚げそばがきのようなものが、カトマンズの飲み屋で出てきました。カンチャンバというそうです。表面はカリッとしており、内部はもちっとしたそばの食感と香りが味わえます。ネパールのフィンガーフードとしては定番らしく、ムスタンあたりで生産されたそば粉がおいしいと、地元の方が教えてくれました。これは、幌加内産のそば粉でマネして作ってみるしかありません。

ネパールはカトマンズで1,400mくらい、ポカラで850m程度と割合に標高が高い地域です。そのせいか、野菜がとてもおいしく感じました。ジャガイモなんか、素材も調理法も最高でしたね。ホテルの朝食では玉ねぎとソテーし、最後にパクチーを振りかけるシンプル料理が絶品で、毎日お代わりしてしまいました。ヒマラヤ岩塩のうまさというのもあるかもしれません。焼きトマトやカリフラワーのソテーなど油と塩だけの料理が非常においしく感じました。すべて北海道の食材でも作れます。

モモもいただきました。もとはチベット料理ということですが、ネパールのメニューとしても定着しているようです。ポカラにはチベット難民キャンプが3か所あったのですが、米国が積極的にチベット難民の受け入れを進め、1960年代後半をピークに難民数は漸減しているとのことでした。3年前に取材を試みましたが、なかなかずかずか入っていける雰囲気では無く、写真だけとってきた記憶があります。難民キャンプ地にもモモのお店がありましたので、機会があれば行ってみたいです。

このモモはポカラでいただきました。モモもこのような丸形と日本の餃子のような形をしたモモがあり、鶏肉、野菜、バッファローの具材を選べる店が多いです。シェルパビールというクラフトもタップから飲むことができました。IPAとピルスナーをいただきましたが、日本のクラフトと何ら変わらずおいしいビールでしたね。値段は半分以下でした。

こちらはカトマンズのネワリ料理屋さんに連れて行ってもらったときに出てきた日本の餃子のようなモモです。中身は鶏のひき肉で、日本のようにニラやニンニクは入っていません。

ネワリ料理のお店で出てきたバラというダルを水でこねて焼いた日本のお焼きのような食べ物もおいしかったです。稲作が広まる前から伝わる伝統料理とのことで、米が高価で食べられない時によく食べられていたといっていました。素朴な味わいですが、本当においしいです。

ポカラの宿の近くに肉を焚火で焼いて出す小さな店があり、行って見ました。地元の人たちがお酒を飲んでいて、日本の居酒屋的なお店なのでしょうか。バッファローと豚の炭焼きを頼みましたが、タンドーリスパイスが塗られていて、ウッドファイヤーで燻された香ばしさがあり、非常に美味でした。

チキンカレーもとても美味しかったです。ネパールカレーはナンで食べるインドカレーよりも油の使用を抑えたものが多く、あっさりしています。日本ではあまり出くわしませんが、デンマークのツボルグビールがどこでも飲めるのもありがたかったです。

ポカラはヒマラヤ山脈のふもとにあり、根城からは秀峰アンナプルナ山を臨むことができました。夕方に仕事が終わり、部屋のベランダから山を眺めてていると、ホテルのおばちゃんがノックして「ポカラの冬ではこれを飲むんだよ」とネパールで製造しているコーリャン(高粱)の焼酎お湯割りを持ってきてくれました。芋焼酎のような味わい深いもので、ベランダで山を眺め、冷えた体をじんわりと温めてくれました。

今年来札したネパール人の仕事仲間が嘆いていました。「札幌(日本)には多くのネパール人がいるのに、なぜ彼らはネパール料理を広めようとしないんだ。日本の多くのネパール料理屋では、北インド料理を提供している!」。彼は白石区の北インドカレーとナンを提供するネパール料理屋に「俺は明後日帰国する。その前にお前の作るネパール料理を食べたい」と談判したそうです。翌夕そのレストランを訪れると、ダルバートはもちろん、伝統的なタカリ料理の数々が用意されており、その人はかなりテンションが上がったと言っていました。「やればできるじゃねーか」という感じだったのでしょう。

日本では大久保通りくらいでしか本格的なネパール料理が常時食べられるところがないかもしれません。急増するネパール人口の胃袋を支えるためにも、インド料理をやめてネパール料理を提供するネパール人の方が日本で増えてくれるといいなぁ、と感じてしまいます。

お世話になった宿のおばあちゃん。チェックアウトの時に「あんたいろいろと料理について、うちの若いのに聞きまわってたというじゃないの。この宿の料理の秘密はプルナママ(宿のオーナーがプルナさんという方)が手で挽いたスパイスにあるのよ」と良い香りがする辛そうな粉末が詰まったインスタントコーヒー小瓶を手渡されました。ネパール料理は家庭の味なので、それぞれの家庭秘伝のスパイスがあるようです。プルナママのスパイスを使った宿のジャガイモ料理はとてもおいしかったので、帰国後、再現できるように頑張りたいと思っています。

右のお皿がジャガイモ料理です。なんてことはないジャガイモと野菜を鉄パンで炒めたものですが、本当においしかったです。

と、ここで、ボーディングの時間が来てしまいました。中途半端ですが、ひとまずここで店じまいです。

コメントを残す

WordPress.com Blog.

ページ先頭へ ↑