本作『Prisoner In Disguise』は、最高傑作とされる『You’re No Good』(1974年)の流れを汲む作品で、いわゆる佳作に位置づけられるアルバムだと思います。カバー曲が中心の構成ですが、その選曲が非常に優れており、最後まで一気に聴き進めることができます。
Heatwaveや「Tracks of My Tears」といったMotown系の楽曲から、Neil Young、James Taylor、Lowell George、J.D. Southerといった、おなじみの朋友たちの楽曲まで、どれも完成度が高く、ロンシュタットの歌声の魅力を存分に引き出しています。デビュー前のEaglesがバックを務めている曲も多く、演奏のクオリティが高いのも納得です。
私がリアルタイムでロンシュタットを聴いたのは、Nelson Riddle指揮によるオーケストレーションでスタンダードを歌った『What’s New』(1983年)でした。彼女が歌う「Someone to Watch Over Me」がとても好きだったのを覚えています。また、80年代にはAaron Nevilleとのデュエット曲「Don’t Know Much」もヒットしていましたね。
彼女の魅力は、やはり声量のある、伸びやかで芯の強い歌唱力にあるのではないでしょうか。70年代の作品を遡って聴いてみると、イーグルスやニール・ヤング、ジェームス・テイラー、Jackson Browne、J.D.サウザーといった人脈が生み出すウェストコースト・サウンドに、ロンシュタットの声が驚くほどよくマッチしていることに気づきます。そして、それらの作品群が今なお燦然と輝いている理由も、自然と理解できる気がします。
彼女は「魔性の女」と評されることも多いですが、イーグルスの「Witchy Woman(魔性の女)」は、ロンシュタットをモデルにした曲だと言われています。J.D.サウザー、Jim Morrison、Mick Jagger、David Sanborn、さらには映画監督のGeorge Lucasまで、その名を挙げればきりがありません。男関係すら芸の肥やしにして、次々と素晴らしい作品を生み出してきたその豪胆さは、後にも先にもロンシュタット以外には思い当たらないように感じます。


収録曲
Side One
Love Is a Rose(Neil Young)2:46
Hey Mister, That’s Me Up on the Jukebox(James Taylor)3:56
Roll Um Easy(Lowell George)2:58
Tracks of My Tears(Smokey Robinson)3:12
Prisoner in Disguise(J.D. Souther)3:54
Side Two
Heat Wave(Holland–Dozier–Holland)2:46
Many Rivers to Cross(Jimmy Cliff)4:05
The Sweetest Gift(James B. Coats)3:00
You Tell Me That I’m Falling Down(Anna McGarrigle)3:17
I Will Always Love You(Dolly Parton)3:00
Silver Blue(J.D. Souther)3:03
どの曲も魅力的ですが、ここはやはり、元気一発でB1の「Heat Wave」を選びたいところです。アルバム全体のポップさとエネルギーを象徴する、実に爽快な一曲だと思います。
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