例のごとく、飲み会前の隙間時間に、札幌駅近辺の中古レコード店をパトロールしてきました。新入荷コーナーにめぼしいものがなく、ヴァン・モリソンやトム・ウェイツの棚を掘っていたその時、不意に視界に飛び込んできたのがこの一枚。Grateful Dead『Blues for Allah』(1975年)でした。
デッドの作品群の中でも、個人的に3指に入るほど愛着のあるアルバムです。手に取って驚いたのが、そのプライス。なんと1,650円(税込)。 相場なら5,000円前後は下らない、しかも市場で見かける頻度も決して多くない盤です。まさに「破格」の出会いに、迷わずレジへ直行しました。安さの理由は明確でした。 ひとつは、センターレーベルがデッド自前の「Grateful Dead Records」ではなく、配給元のUA(United Artists)バージョンだったこと。そしてもうひとつは、ジャケットのコンディション。底が抜けており、正直なところ「ボロボロ」と言って差し支えない状態です。「一体どんな環境に置かれていたんだ?」と首を傾げたくなりますが、肝心の盤面は頗る良好。多少の使用感はあるものの、再生には全く問題のない嬉しいコンディションでした。


本作は、1975年9月にリリースされた通算8枚目のスタジオ・アルバム。 その内容は、それまでのレイドバックした雰囲気から一変し、タイトな演奏をベースにファンク色を強めた、プログレッシブかつジャズ・フュージョン志向のサウンドが展開されます。 随所にインサートされる中東風のフレーズは非常に斬新ですが、ジェリー・ガルシアのギターはどこまでも優しく、包容力に満ちています(あくまでA面に限った話ではありますが……笑)。
チャートアクションも好調で、最終的にアルバムチャートで12位を記録。デッドのキャリアの中でも、かなり成功した部類の作品と言えるでしょう。
印象的なタイトル『Blues for Allah』には、あるエピソードがあるようです。 レコーディング開始後に暗殺されたサウジアラビアのファイサル国王が、熱心なデッド・ファンだったという説。お経のようなタイトル曲の歌詞は、その君主への鎮魂歌(レクイエム)だと言われています。 この中東への傾倒は、後の1978年にピラミッド前で行われたエジプト公演へと繋がっていくことになります(エジプトコンサートの演奏自体はかなりグダグダでしたが……それもまたデッドらしいですが)。

3枚組CDのジャケ内側がなぜかピラミッド仕様に。謎です。

本作の魅力は何と言っても、A面(A1〜A4)の完璧な流れに凝縮されています。
- A1. Help On The Way
- A2. Slipknot!
- A3. Franklin’s Tower
- A4. King Solomon’s Marbles
- B1. The Music Never Stopped
- B2. Crazy Fingers
- B3. Sage And Spirit
- B4. Blues For Allah
A1のキレのあるギターリフが鳴り響いた瞬間、一気にアルバムの世界観に引き込まれます。 B面に入ると、A面のキャッチーさとは対照的に、より抽象的でダルな空気が漂いますが、それも含めて本作の持つ魔術的な魅力なのでしょう。
まずは、この完璧なオープニング・トラック「Help On The Way」を聴いてみましょう。
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